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セイル記載のLUFF表示 必要最小限、もしくは適正なダウンテンションを知る目安となるのが、セイルに記された「LUFF」という数値。これは「マスト長と、(伸ばした)ジョイントエクステンション寸法の合計値」だが、この数値を頭から信用するには危険が潜む。実数値と数センチも違う場合があるのだ。自分のセイルの表記数値が正しければ良いが、そうでないかもしれない。 また、表記数値が正しいとしても、それはあくまでベストとされる推奨マストを使う場合のこと。1枚のセイルを異なるマストで張り比べた場合、ダウン数値に5センチの差があるなど当たり前なのだ。だから、ベストとされる推奨マスト以外のもの、たとえばセカンド推奨マストを使う場合は、LUFF数値を目安にしながらも、結局は自分で適正ダウンを探る必要に迫られる。 最適ダウンテンションを探す ドラフトカーブ、特にマストスリーブとセイルメインパネルの境目に当たる部分の「ドラフト深さ」、「バテンの折れ曲がり度合い」を意識してセッティングする人がいる。が、ドラフトカーブはマストスリーブの太さによって視覚的錯覚が起きるので(広いスリーブだとドラフトがすごく浅く、細いスリーブだとドラフトがすごく深く見える)、この方法は得策ではないことを知っておこう。すなわちダウンチューニングでは、ドラフトが多少深く見えようが浅く見えようが気にしない、に限る(視覚的ドラフト深さはアウトテンションでいくらでも調整可能)。 ダウンテンションは、リーチのタレ具合を判断材料にする。その手順は以下のとおりだ。 まずは数値や印を目安に、ひとまずダウンを引く。この時点で明らかなテンション不足、もしくは過多だと感じたら修正。「まぁこんなもんだろう」というところまで引けたら、ブームまで一通りセッティング。もちろんカムセイルの場合はカムまですべて。 地面に置いた時、リーチは(ダラダラ程度に違いはあれど)波打って見えるのが普通。もしリーチが波打たずにピンと張った状態だったら、ダウンが圧倒的に不足している証拠で、たとえアンダーでも決してツイストは稼働しない。 次にセイルトップを持ち上げて、第1バテンのリーチ付近を、手のひらで、リーチのダラダラが無くなるまで軽く下に押す。そのときのの第1〜第2バテンのカーブが要チェックポイント。 カムセイル、ノーカムセイルにかかわらず、プレーニング系のセイル(レースセイルや走り系フリーライドセイルなど)ならば、第1〜第2バテンが、やや下向きにカーブするくらいがちょうどいい。これが一番ツイストのレスポンスが高まる。これより弱ければアンダー含めてツイストが不完全になり、これより強ければ(激オーバーは別として)ツイスト時もリーチが余ってバタバタしてしまう。 プレーニング系のセイルのダウンチェック。手のひらで押して、リーチをタイトにして(リーチのダラダラがなくなりピンとなること)、バテンが下向きにカーブして見える(青線)までダウンを引く。写真はノースの08モデルレースセイルRAM F8。ちなみに当該セイルの場合、ノース特有のセイルパネルのビジュアルトリムマーク(minとかmaxと記されている楕円マーク)のmaxまでは引かない。すなわちメーカー指定テンションよりも少し弱め。 ウェイブセイルなどのアクション系セイルの場合は、プレーニング系セイルよりもダウンはやや緩め。ダウンの引き過ぎはアクション時(特にボトムターンなどのカービング時)にセイルが軽すぎて感じて体の支えを失いやすいので注意。そのテンションは、バテンが下向きカーブを描く直前、バテンが真っすぐのラインを描くところ、だ。 アクション系セイルの場合、バテンが真っすぐライン(青線)を描くのが最適ダウンテンションの目安。ひとつ注意として、ダウン不足でもバテンは真っすぐラインを描くため、このテンションを探す時は、一度強めにダウンを引き(バテンが下向き曲線を描くまで)、徐々に緩めながら(幾度もトップを持ち上げて確認して)行う。「強」から「弱」へテンションをチューニングすることで最適を探し出そう。写真はニールの08モデルCOMBAT。 ただし、アクション系セイルであっても、走り重視のセッティングを望むなら、前記したプレーニング系セイルと同等までダウンを追加する。すなわちバテンが(押して)下向きカーブを描くまで。そうしてダウンを強めにすることで、セイルを引き込み続ける際のセイル安定感を高めることができる。 |