マストとセイルの関係

QGさんからの質問

セイルとマストの関係について。460cmのカーボン100%指定のセイルに、指定以下のカーボン含有率(例えば75%など)を使うとどうなるのでしょうか。また460指定に430を使うとどうなるのでしょうか。ダウン量、ドラフトなどの張り上がり、一般的なチューニングの方向性、アルミジョイントとカーボンジョイントでの違いなどまでマニアックにお願いします。

Aマストはブランドが異なれば、また同一ブランドでも年度が異なれば比較できなくなります。そのためここでは、「あるセイルを、同一ブランドの同一年度の、ただし異なるカーボン含有率のマストで張った場合」という前提で、一般論として話を進めます。

マストは「カーボン含有率が高いほど硬く」、「低いほど柔らかく」感じます。そのため100%指定のセイルに75%を使用すると、ダウンテンションを「より強く引く」必要が生じます。マストが柔らかいとセイル面にテンションがかかりにくく、そのテンション不足をダウンを強く引く事で補うためです。またそうすることによって結果的にドラフトは「浅く」なります。

カムセイルの場合、この浅くなったドラフトが、カムを「浮かせて」しまう場合があります。カムが「浮く」とは、ドラフトがガッチリとロックせずに、ノーカムセイルのように遊びができてしまうということ。この場合はカムがロックするまでダウンを緩めなければなりませんが、すると今度はダウン不足に陥る可能性が出てきます。このジレンマが解消できれば良いのですが、もし解消不可だとしたら、それはそのセイルにはそのマストが柔らかすぎて使えないという証拠になります。

指定よりも低いカーボン含有率のマストを使う場合は、こうしたさまざまなことを念頭にチューニングする必要があります。無闇にドラフトを深くセットしようなどとすると、ダウンテンションの大幅不足に陥るなどということもあるので要注意です。

逆に、75%指定に100%など、指定よりもカーボン含有率の高いマストを使った場合は、ダウンが「強くて引きにくく」なり、その際のドラフトは「深く」なります。

長さが異なるマストの場合、カーボン含有率が同じでも「長いほど硬く」、「短いほど柔らかく」感じます。そのため460指定のセイルに430を使うと、カーボン含有率の低いマストを使ったときのように、ダウンテンションを「より強く引く」必要が生じ、その際のドラフトは「浅く」なります。逆もまたしかりです。

これらの異なる「引き加減」がどのくらいの差として生じるかはセイルによってまったく違います。ロフトセイルのようにほとんど差無くセットできるものもあるし、もしかしたら3センチを超えるような大きな差のチューニングが必要なセイルがあるかもしれません。ここから先は、個別の組み合わせで実際に試してみなければわからない世界です。

アルミとカーボンのジョイントエクステンションの使い分けによる差はありません。アルミだからダウンを少し引くとか、エクステンションによってドラフトに差ができるなど一切ないので安心を。