NITRO3にノースマスト

QK.Uさんからの質問

ガストラNITRO3の6.3に関して。推奨マストではなくノースVIPER75マストを使っているのですが、ダウンとアウトを表記通りにセットすると、ドラフトが非常に平らになってしまいます。それでも大丈夫でしょうか?推奨マストの方が当然優れているのは理解しているのですが、予算上致し方なく、多少のデメリットは覚悟しています。

Aレースセイルに推奨マスト以外のマストを使用した場合、性能低下は免れません。しかし実際のところ、それを使うしかないのですから、あと考えるべきは、どうすれば少しでも性能向上できるだろうか?ということでしょう。そこで、性能向上の方法を探ってみましょう。

NITORO3の指定マストはファイバースパーの6000。それに比較して現在使用のバイパー75は、たぶん「柔らかく」感じるはず。その場合、まず考えられるのは、ダウンもアウトも少し弱めにセットしてやるということです。しかし必ずしもそれで解消するとは限りません。柔らかいとは言ってもその程度によって、また柔らかさの分布などによって、逆に少しテンションを高めた方が性能を引き出せる場合もあるので、表記値を基準にして、プラスマイナス2cmくらいの範囲は最低でもいろいろと試してみるべきです。これらは手間のかかる作業ですが、他に試す人がいないのですから、自分の時間と労力を使ってベストなチューニングを探すしかありません。

次に、より具体的対策について。ドラフトが浅い原因のひとつに、カムがマストから浮いていることが挙げられます。カムがしっかりとマストに接せず、カムとマストの間に遊びがあるとドラフトは浅くなりますから、ここをチェック。指定マストであるファイバースパー6000とバイパー75を比較すると、ドロップシェイプと呼ばれるバイパーの方が若干細いはずなので、カムが浮いている可能性は高いと思えます。そしてもしカムが浮いているようならば、カムの根元(バテンが入っている部分)にワッシャーのようにパーツを入れることで、カムを少し前方へ押し出してやります。どのくらい押し出せば良いのか?は、4つのカムそれぞれで異なるし、押し出し程度はいろいろと試す中で探るしかありません。ちなみに各部ごとにカムが簡単に返るようならば押し出し不足。カムが返りにくい限界あたりが適度でしょう。ただし、指定マスト以外の場合、この作業によってマストが折れやすくなる場合もあります。それに関しては、ご自分の責任で行ってください。

写真はノースのカムですが、ガストラもシステムは同じ。写真左がノーマル状態。カムの根元(バテン先端部分)にホースを切ったものを噛ませることで、写真右のようにカムを前方に押し出すことができます。マストとカムの間に遊びがある場合は、こうしてカムをマストに密着させることで、ドラフトを正しく作り出すことができます。尚、ここではホースを切ったものを使いましたが、ガストラ、ニールそれぞれに専用パーツもあり、その場合はパーツを必要枚数重ねることで押し出し度合いが調節できます。

またフットベルトをしっかり引いてやることも試してみてください。フットベルトを強く引くほどセイルフット部(セイル下部)のドラフトが前方に深く固定されるので、その利点を最大限に活用します。これが一番簡単で、明日にでもすぐに出来る対策でしょう。