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Q:Sさんからの質問 現在、ガストラのNITRO2の9.3のマストを探しています。推奨マストはファイバースパーのREFLEX6000ですが、このマストは折れやすいと聞くし、セイルの推奨マストIMCSが30にもかかわらずREFLEX6000のIMCSは32。推奨IMCSで考えるとノーズのVIPER RACE510が適合すると思うのですが、これを選択するのは間違えでしょうか? |
A:マストの表現方法としてイーブンベンド(全体的に程良く曲がる)という言葉がありますが、昔は同じイーブンベンドでもニールは少しトップベンド気味、などというようなメーカーごとの癖がありました。しかし現在のマストは、そんな昔事はありません。今はどのメーカーのマストも癖がないベンドカーブ(曲がり方)をするので、推奨マスト以外のマストは合わない、ということは少なくなりました。特にフリーライドセイルやフリースタイル、ウェイブセイルなどのノーカムセイルは、推奨マストにこだわらなくても大丈夫になりました。 しかし依然として、各ブランドの頂点にあるレースセイルでは推奨マストが重要視されます。 その理由は、セイルがマストを元に作られているから。よく、推奨マストとは「そのセイルに合うマスト」と勘違いして解釈している人がいますが、そうではなく、そのセイルの(ラフカーブの)元型となったマストのことなのです。すなわち、あるマストがあって、そのベンドカーブを元にしてセイルが作られる。そして出来上がったセイルの推奨マストとなるのが、その元となったマストなのです。だからラフカーブを最適にセッティングしないと性能低下が起こるレースセイルでは、推奨マストが非常に重要な意味を持つのです。 しかしここでひとつ問題があります。それは、ファイバースパーやニール、ノースを初めとするマストが外注で作られているという事実。たとえばファイバースパーは、最初はアメリカのファイバースパー社で作られていましたが、その後、たぶん2回くらい作られる工場が他国のまったく違う製作場に変わったのです。いつ、どこの工場に変わったかは、わかりません。その情報はシークレットなので(国内輸入業者にとってさえ不鮮明な場合が多い)、少ない事実と幾つかの噂があるだけですが、そうして工場が変わると、行程から工作機械、技術までもが異なるので、極端に言えばマスト名称は同じなのに中身が違ってしまいます。もちろん新工場では元のマストと同じものを作ろうとするので、その性能は限りなく近いものですが、それでも過去の経験からも、特に変わりたての初期は、「前の工場のは折れなかったのに新しい工場のは折れやすい」という問題が生じてしまうようです。そして今年のファイバースパーマスト、特にラージサイズセイル用の長いマストが非常に折れやすいという事実は、このあたりに原因があると考えられるのです。 さてここで質問に戻りましょう。質問のNITROに最適のマストは推奨マストであるファイバースパーです。ノースやニールのマストがいかに魅力的に見えたとしても、その性能は推奨マストにかないません。しかしその推奨マストがトラブル続きだから悩む、その原因は工場の変更にある。ならばトラブルのなかった前の工場時代のマストを使用するという手があります。たぶん当時のマスト(NITRO2の時代)は現在は中古で流通しているでしょう。 しかしここで新たな問題が立ちふさがります。それは「マストは折れる」という事実。ファイバースパーのみならず、ニールもノースも折れます。特にレースセイル用の最高級マストは、カーボン含有率が高いがために他の普及マストと比較して折れやすいのは仕方のないことなのです。だから、前工場のファイバースパーを手に入れたとしても、それが折れない保証はどこにもありません。折れないだろうと思って入手したマストが折れてしまったらガッカリします。そこで結論。やっぱり推奨マストが一番いいのだから、折れやすいと言われていても新品を手に入れる。そして万が一折れてしまったら、クレームという手段で新品に交換する。マストが折れると最悪の場合セイルのマストスリーブも切れてしまいますが、それでもクレームを繰り返してファイバースパーを使い続けるユーザーが多いのはこうした理由によるものなのです。 |
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