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Q:T.Sさんからの質問 ハーネスラインの位置で悩んでいます。速い人はマストから70cmくらいのところにハーネスラインを付けているのですが、私にはできません。その位置はセイルのパワーポイントより明らかに後ろだと思うのですが、何か乗り方にコツがあるのでしょうか?ハーネスラインが後ろ寄りにある方がオーバーに強く、また速く走ることができるのでしょうか?柴崎さんも雑誌で見る限りかなり後ろに見えますが、ジョイントポジションなどとの兼ね合いもあるのでしょうか? |
A:ハーネスラインは、あくまでセイルのパワーポイントの位置に設定してあります。アンダーではなく、もっともスピードに乗れるジャストからオーバーのときは、それだけセイルのパワーポイントは後ろにあるということですね。またそのハーネス位置に、ジョイントポジションはあまり関連ありません。ジョイントが少し前でも後ろでもハーネスラインの位置に変化はありません。 ハーネスラインの位置を調整するとき、まず「できるだけ後ろにする」という方法が効果的です。これは、オーバーになるほどパワーポイントが後ろにズレるので、その位置を探し出してやるということ。できるだけ後ろにしておいてから、そこから自分が乗りやすい位置まで前に調節してくるのです。当たり前にように思うかもしれませんが、実は多くの人が「前につけて、そこから後ろに移動させる」という手法を選びます。しかしこれだと的確な位置が探しにくいのです。そこで、まずはできるだけ後ろにつけて乗ってみます。しばらく乗って、前の腕が極端に疲れるようならばそれは後ろ過ぎる証拠。前の腕が疲れると前肘が曲がってしまうのでわかります。そこでわずかずつ(実際には5mmくらいずつ)前にズラして、前の腕が疲れて肘が曲がってしまわないところを探します。そのギリギリのポイントがそのセイルでのハーネスラインの位置となります。 また、そうした後ろめのハーネスラインを実現するには、セイルがしっかりと引き込めていることが条件となります。セイルの引き込みが甘いとハーネスライン位置は前寄りが使いよくなってしまうので、ハーネスラインを後ろめにすることでセイルの引き込みを強めることと、セイルの引き込みが十分だからこそハーネスラインが後ろにできるという関係を探りながら調節することも必要です。 ハーネスラインが必要なだけ後ろにできれば、セイルの引き込みをキープしやすいので必然的にスピードはアップします。アビームのみならず、クローズやダウンウインドのスピードもアップします。もちろんオーバーセイルにも対応しやすくなります。熟知していると思われているプロでさえ日々ハーネスラインの位置調節をするくらいなので、少しずつ可能な範囲で調節しながら後ろめのパワーポイントを抑えることのできる位置にハーネスラインがセットできるように頑張ってください。 |
セイルは6.6。ずいぶんハーネスラインが後ろに見えるかもしれないが、これがこのセイルのパワーポイント。パワーポイントを抑えた的確なハーネスライン位置で乗れれば、スピードアップ、オーバーの対処能力などが自然と高まる。 |
尚、ハーネスライン位置はセイルのセッティングによっても変わることを覚えておきましょう。ダウンの引きやアウトの引きが甘ければ前でないと乗れず、ダウンやアウトを引きすぎていると極端に後ろにつけないと乗れません。このことから質問者の場合、ダウンやアウトのテンションが不足しているためハーネスラインが必要なだけ後ろに付けられないという可能性も考えられます。 |
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