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Q:M.Aさんからの質問 マルチフィンウェイブボードのセンターとサイドフィンのサイズに関して。メーカー純正のフィンサイズに対して、例えばセンターを1センチ小さく、サイドを1センチ大きくした場合、乗り味はどう変わるのでしょうか。 |
A:確認のため。ウェイブボードのフィンシステムには大別して、シングル(センターにフィン1枚)、ツイン(左右に2枚)、スラスター(トライ/センター1枚の左右に短いフィン2枚/トライは3枚とも同じサイズのフィン)、クアッド(内2枚、外2枚の計4枚)、の4種があります。うち質問に合致するのはスラスターもしくはクアッドと思われるので、その2つに絞って考えてみましょう。 まず基本概念としては、センター(スラスターは真ん中の1枚、クアッドは内側の2枚)のフィンは直進性能を司ります。簡単に言うならフィンサイズを大きくすれば直進性に優れるけど回転性が失われ、小さくすればまっすぐ走りにくくなるけど回転しやすい。対してサイドフィンは回転性で、大きくすれば回転性が乏しくなり、小さくすれば回転性が高まる。しかし実際はそう簡単な話ではありません。個々のボードのアウトラインやロッカーなどに関連するだけでなく、複数のフィンがそれぞれに複雑に力関係をやり取りすることで直進性と回転性を生み出すので、だからこそフィンサイズの見極めは非常に困難を極めるわけです。 では質問に関して具体的に、スラスターとクアッドそれぞれについて考えてみます。 スラスターの場合、センターフィンを1センチ大きなものにしたら明らかに直進性能が向上します。例えばクロスオンショアで波間を上って沖に出る場面や、クロスオンショアでフェイスをラフさせて(バックループなどで)ジャンプへと繋げたい場面、1センチ小さいとテイルが流れる感じだったところが、切れ上がるようにグリップ強く操作できるようになるでしょう。それは操作性が高まったと感じるはずで、この感覚は上級レベルでなくても多くの人が容易に感じ取れるはずです。 スラスターのサイドフィンのサイズを変えたとして、多分さほど実感できないだろうと推測します。 例えばボトムターン。サイドフィンを小さくしたら今よりもターンが良くなるとか、大きくしたらターンが難しくなるとかよりも前段階として、まずはレイルを深く入れてターンするというテクニカルな部分があるからです。トップターンも同様に、リップでのレイルの切り返しであったり、そのタイミングや後ろ足の蹴り出しの強さなどのテクニカルな部分こそが先行要素なので、その技量に達するまでは正直なところ、サイドフィンが多少小さくても、多少大きくてもその影響は限りなく小さく、それらを実感することも多分無いはずです。 技量的に十分な人にとっては話が少し異なります。そうした人にとってサイドフィンを最も強く感じるのは、多分トップターン時。リップでレイルを切り返してスラッシュする。その時、板は大きく傾きアウトレイル側のフィンは水面から浮き上がり、グリップするのはセンターフィンとインレイル側のサイドフィンだけになる。その場面で強くサイドフィンの影響を感じるということ。そして、もっとクイックにターンしたいと感じたらサイドフィンのサイズを小さく、もっとグリップが欲しいと感じたらサイズアップする、という具合です。 これらのことは、クアッドに関しても同じことが言えるでしょう。 今の板はどれも多くのテスターの手によりベストと判断されたフィンサイズがコンプリートされています。なのでそのサイズに疑問を持つ人は少なく、もし直進性を高めたければ、それがフィンを前後に動かせるフィンボックスであるなら、例えばセンターを後ろにして直進性をもう少し高めようとか、そうしたチューニングに神経を尖らせます。それでもなお納得できない場合にのみフィンサイズの変更に焦点が移るということです。 これらのことを踏まえた上で質問に戻りましょう。センターフィンを1センチ小さくしたらきっと直進性が損なわれます。でも同時にサイドフィンを1センチ大きくしたことで相殺、元と同じ直進性が確保できるかもしれません。しかしもしかしたらやっぱりスピンアウトしやすくなるかも。そのリスクを抱えてまでフィンサイズを変える必要があるかと言えば、疑問の残るところです。また回転性に関しては、質問者が超上級者でないとしたなら、理論的には大きなサイドフィンが回転性を低下させるはずですが、それを実感することは限りなく少ないでしょう。 |