タトルボックス

QT.Oさんからの質問

ディープタトルボックスの板にタトルフィンを使っていて流木にヒットしてしまいました。自分なりに修理してピッタリに再生できたのですが、ディープタトルフィンに変えたところまったくサイズが合いません。なぜそうした誤差が生じるのか、そもそもタトルボックスはメーカーごとに違いがあるのか教えてください。

Aまず最初に初級編としてタトルボックスについて少し説明しましょう。タトルボックスとは、フィンの根元の大きなベース部(横幅狭く前後にデカい)を板のボトム部からボックスに挿入し、それをデッキ面からビス2本で止めるタイプのフィンボックス。またタトルに対してディープタトルは深さがあり、その分だけ背の高いフィンのベース部をボックス内に挿入できるため、長いフィンやフォイルなどフィンベース部及びボックスにより大きなプレッシャーがかかる板に採用されています。

タトルボックスは、側面が「間口から最深部まで同じ幅」で、前後面は「間口が広く、奥に行くほど狭くなって」いて、それによってフィンベース部がボックス内に入り込み過ぎないシステムになっています。ディープタトルはそこからさらにボックス前後面が狭まりながら最深部が深くなるという、それだけの違いです。

タトルボックス、ディープタトルボックスともに、メーカー問わず世界共通規格なので、どの板も原則違いはありません。またディープタトルボックスの板にタトルボックスは互換します(タトルボックスの板にディープタトルのフィンは深さが足りないので互換無し)。しかし実際には、メーカーどころか同じ板であってもそれぞれに、例えばボトム面の塗料が少しボックス内に流れ込んでいるなどによって、側面や前後面、もしくはその両方でごく微妙に狭さが異なることもあります。

ボックスが基本世界共通規格なので、必然フィンのベース部の大きさも共通規格なのですが、これまた実際には個々のフィンごとに微妙な大きさの違いがあります。そうしたボックス側の誤差とフィンベース部側の誤差が重なると、ボックスにまったく入らない、もしくはスカスカで深く入りすぎる、などの現象が起こります。その板にコンプリートされるフィンとの組み合わせならばこの誤差はありませんが、スラロームのように板にフィンがコンプリートされていなくて別買いの場合は、特にその誤差が生じやすく、そのためサイズが合わずに「一手間」が必要なことも常識です。

多くの場合、フィンがボックスにピッタリ合わないのは「入らない」です。その場合は(過去歴で説明していますが)、絶対にボックス側を削ってはいけません。ボックス側には手を触れず、フィンベース側を削ってサイズを合わせます。なぜならボックスを削ってしまうとただでさえ薄いボックスの表面が薄くなって強度が落ちてしまうからです。

フィンボックスにフィンベースを挿入したとき、どのくらいが適正なのか?それは板を裏返してボトムを上にフィンを上からグイグイと押し込んで、それでもボトム面よりもフィンベースの前側もしくは後ろ側が3〜5ミリほど浮いた状態で、それをデッキ面からビスで締め付けることでピッタリに収まるくらい。締めるときにビスがギチギチと音を立てて悲鳴をあげるのは、ちょっとキツ過ぎの証拠。それほどキツいのを無理やり締めてしまうとボックスに大きな負担となるので(強制的にボックスを広げることになる)、これをするのはわずかなブレも見逃さない技量を持ち、毎年板を新調できるプロに限られると思います。そもそもボックスは経年劣化で側面が広がって緩くなってきます。最初から無理して押し込み過ぎると劣化速度が早まるだろうから、その板を長く使いたい人にとってはあまりお勧めできないというのがその理由です。

そもそもタトルもティープタトルも、大きな側面積で横ブレを防ぐためのボックスなのだから、例えばフィンを装着して左右にグイグイしたらユルユルだとか、流木にヒットしてフィンがボックス内に入っちゃったとかではなくて(それは当たり前にあること)、海藻が引っかかっただけで簡単にボックス内に入り込んでしまうなどがない限り、たとえビスの締め付けを多少緩めて加減するなどしたとしても、フィンが欠落するなどがなく、半日乗ってフィンが適正なポジションに保てれば、それで問題ないと思います。そうした視点から、神経質になり過ぎずに必要な手心でフィットするように作業してみてください。