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Q:T.Mさんからの質問 波に乗って浅瀬に突っ込んだりしているうちにフィンの先端が削れてしまいました。そうした場合、新しいフィンを買う以外に方法は無いのでしょうか? |
A:特に波のあるコンディションでは、波に乗ったまま浅瀬に突っ込むことも多々あり、どうしてもフィンの先端が削れてしまいます。「まだ大丈夫」と油断していると、削れが大きくなり、先端が真っ平らになることもあります。もちろんそれだとフィンのグリップ力が低下し、クローズやジャイブ、ボトムターンなどで顕著にスピンアウトを経験することになります。 そうした大きなダメージを負ったフィンでもリペアすることは可能です。ただしフィンのリペアの場合はボードのように元の形に修復するのは不可能で、削れた部分をさらに削って新しい形とフォイルを作り出す「リフォイル」という手法になります。もちろん大きさも回復できないので、そのフィンの原型から比べれば少し短くなってしまいます。 このリフォイルは非常に手間がかかり、技術的にも難しい作業ですが、ひととおり作業手順を解説しておきましょう。必要なものは100番、400番、1000番くらいの紙ヤスリ。紙ヤスリにはいろいろな種類がありますが、100番は白いタイプのもの、400と1000番は耐水ヤスリが良いでしょう。それと当て木。紙ヤスリをそのまま手に持って作業すると平面がデコボコになるので、必ず当て木を利用して削ります。 |
まず最初の作業はフィンの形を整えること。横から見たときに先端部分が平らになっているでしょうから、それがちゃんとフィンの形になるように削り出します。写真の青線で示したように、削れて平らになった部分の前後を削って、フォルムが曲線で繋がるように、元の形をイメージしながら、なるべくそれに近く(一回り小さく)なるように作業します。 |
次にフィンを前から見て、先端に向けてスムーズに薄くなるようにリフォイル。全体的に薄くなるようにフィンの1/3くらいの広範囲を、当て木を使って円を描くように削ります。作業上のイメージとしては、薄皮を先端にいくほど1枚ずつ余計に剥く感じ。実際の作業としては、先端から1/3の部分を全面均等に5回削り、それよりも狭い範囲を5回、さらに先端に近い範囲だけを5回という具合に削ることで、より先端に向けて薄くしてやります。くれぐれも先端だけを薄く尖らせないこと。広範囲を削ることで、先端に向けて徐々に薄さを出すことが重要です。 |
このときフィンのフォイルを平面にしてしまわないように注意。フィンを真上から見るとその断面(フォイル)は中心が膨らんだ翼の形をしているので、その翼の形が崩れないようにフィンの前縁から後縁まで全面を削ることが大切です。ときどき真上からフォイルをチェックしながら、特に最大厚の部分が平らになったりへこんだりしないように注意してください。 この作業はフィンを横から、前から、後ろから、上から、いろいろなところから見て削り度合いを確認しながら慎重に、かつ大胆に行わなければなりません。そこには非常な手間が必要なので、時間をかけて焦らずに作業してください。そうして元の形よりも先端1/3だけが少し薄くて小さいフィンが削り出せたら、紙ヤスリを400番に換えて水をつけながらヤスリの削り傷をキレイにします。さらに1000番に換えて表面をピカピカに磨けば完了です。 |
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