ディープタトルをタトルに

QY.Iさんからの質問

BUGフィン(40センチ)のディープタトルを持っているのですが、これをタトルに変えることは可能でしょうか。

Aデッキ部からビス2本で止めるフィンボックスタイプの「タトル・ボックス」には、「タトル」と呼ばれる通常タイプと「ディープ・タトル」と呼ばれる奥行きの深いタイプの2種類があります。そして両者は、規格は同じだけど深さが異なります。下の写真、左が一般的にスラロームなどで使われているタトルタイプ、対して右がディープタトルと呼ばれるタイプ。ボードに挿入されるベース部の深さ(高さ)が異なるのがわかるでしょう。

ディープタトルは主に、ベース部により力のかかる、例えばフォーミュラなどのフィンサイズ70センチであったり、フォイルなどで活用されます。通常の浅いタトルタイプでは、よりフィンベースに大きな力のかかる長いフィンやフォイルでは、その力に耐え切れないためフィンボックスを深く設定し、フィンベースをより深くボード内に納めることで耐久力を高めるというのがその存在意義です。

前記したように両者は同一規格で、ただ深さが異なるだけ。ゆえに上の写真で言えば、右のディープタトルを左のタトルの深さまで「カット」してしまえば、タトルに変えることができるということになります。なのでその作業は不可能ではありません。でもその工作は決して簡単でもありません。少なくともグラインダーや電動ドリルなどの工具は必要だし、また少なくともDIYが当たり前に出来るだけの作業能力も必要でしょう。質問者がそうした作業能力をどの程度お持ちなのかわかりませんが(もしかしたら職業柄、とても専門知識をお持ちかも?)、実際に私もディープタトルをタトルに変える工作をした経験を踏まえて以下にその作業工程を記しておきます。

まずはディープタトルの「深い」ベース部をタトルの浅さまでカット。写真でわかるようにタトルのベース部を参考に、まったく同じになるようにディープタトルのベース部をカットします。その作業は鉄ノコで切るには大変でしょう。また、たとえ時間をかけて鉄ノコでカットできたとしても、その切り口を水平にキレイに整えるにはグラインダーが必要でしょう。

何よりも難しいのはビス穴を整える作業です。今のフィンの多くはフィンベースにダイレクトに「タップ」が刻まれています。タップとはビスをネジ込むための螺旋状の雌ネジの山。これをフィンベース部にダイレクトに刻み込むには、デッキ部から「真っすぐに」ビスが「寸分のズレもなく」入るように作業しなければなりませんが、これは相当な専門器具と専門知識、また専門技術が無いと無理。なので私のような素人がそれを行う場合は、雌ネジのパーツを使って、そこに至る穴(デッキから雌ネジに至るフィンベース上部に開ける穴)は少し余裕を持って大きめに開けます。この場合の雌ネジのパーツとは、写真で言えば右のディープタトルのベース部に見える2つの穴、そこに収まっている金属パーツです。その収まる穴を前後左右に少し大きめにしておいて、またそこにデッキから止めるビスが至る経路となる穴も大きめにしておく。そうすることでピタリと収まらなくても、どうにか止めることができるようにしようという苦肉の策です。

ここまで記したことを文面から簡単にイメージできるとしたら、たぶん質問の作業は不可能ではありません。該当のフィンをタトルとして蘇らせて今後も活用できるでしょう。でも、もし「何を言ってるのかトンチンカン」だとしたら諦めた方がいいでしょう。それはこうした作業に関しての知識も経験も無いと想像できるので、たぶん作業自体が無理と思えるからです。