SAVAGE7.2適合マスト

QMさんからの質問

2016年のガストラSAVAGEの7.2に合うマストを教えてください。ガストラ以外でノースのSDM100やパワーレックスRDM80などの430cmでセットできますか。

Aあるセイルに対して同一メーカーの、さらに指定するカーボン含有率のマストしか互換しなかったのはすでに10年以上も昔の話。当時はトップベンド(マストの上半分が曲がりやすい)に対してボトムベンド(マストの下半分が曲がりやすい)など個性豊かだったので互換性に問題がありましたが、今のセイルはメーカー問わず、また多少カーボン含有率が違ったとしても(含有率100%を求めるセイルに含有率30%のマストを使うなど常識外れのことをしない限りは)、おおよそセイル性能が70%を下回らない程度で使えます。その理由は、どのセイルも求めるマストのベンドカーブが統一され、同時にどのマストのベンドカーブもそれに即して統一されているからです。

本題に入る前に、まずはマストの基本情報についておさらいしておきましょう。まず、RDMはSDMに対して細いがゆえに、同じカーボン含有率であっても柔らかく感じます。「柔らかい」というと「腰が弱い」とイメージされがちですが、「柔らかい」とは「しなやか」と言い換えることもできます。同じモノなのにこうして表現を違えるだけで、否定的なイメージから肯定的なイメージへと違ってくることを念頭に置いた上で、マストの本質を正しく判断することが必要です。

SDMの100%、75%、50%、またRDMの100%、75%があると仮定して、それぞれを比較してみると自分がどのマストを選ぶべきかが見えてみます。

RDM100%と同じ硬さをSDMから選ぶとしたらそれは75%。SDMの100%はRDMの100%より硬く、ダウンが引きづらくもあり、最終的なダウンテンションもRDM100より「引けない=弱く」なります。すなわち「RDM100よりSDM100は硬い」、結果として(実際の使用感的にも)「RDM100と同等なのはSDMは75」となります。ならばRDM75に合致するのはSDM50かと言えば、そう簡単に話は進みません。RDM75に同等なのはSDMの場合は65くらい。SDM50では柔らかすぎて感じてしまいます。このあたりのカーボン含有率は、100%と75%の違いと並列的ではなく、グラフが右肩下がりで急降下するように、性能的にも体感的にも大きな開きとなって感じられるからです。

こうした基本を踏まえた上で質問に戻りましょう。ガストラの自信作であるノーカムセイルのサベージは、7.2というサイズをして430cmのマストで張れるというユーザーフレンドリーなセイル。それを「これからマストを購入するのだけどベストなマストはどれ?」と問われたとしたら、その答えはRDMの100%となるでしょう。

もしこのセイルをRDMの80%で張るとしたら、性能的には2割弱くらいの低下になりそうです。とは言えチューニングであったり、使用状況も複雑に絡み合うので、実際のところは含有率80でも大丈夫だと判断して良いと思います。この程度の性能低下は、日常のセイリングにおいては「大した影響無し」と考えて何等問題無いと思います。

SDMの100%は問題ありそうです。相当に硬く感じるだろうから、ダウンをどの程度まで引くのが有効なのか(それは記載ダウンテンションより緩め)適正なチューニングの解読が難しく、また出来上がりのチューニングも相当にタイトになってしまいそうな懸念があります。そもそも430cmという長さのSDMのマストが近年使われる機会が無いことを思えば、「それって古いマスト?」とも想像できます。もしSDM430cmが10年を越えて昔のマストであるとしたら、ベンドカーブというマストの特性が今と異なるかもしれないという理由も含めて、選択肢から外した方が無難と思われます。