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Q:Y.Mさんからの質問 i-SONIC117WIDEのフィンについて。7.8と8.6のセカンドレースセイルで現在デボシの44センチを使っていますが、板をリフトできずに困っています。もちろん技術的な問題はあると思いますが、ERD、Z、N2など最近流行のフィンの中で、サンデーセイラーでも板をリフトさせやすいフィンはどれでしょうか。 |
A:117ワイドは、117リッターというボリュームながら、80センチというそのワイドな横幅が生み出す面浮力により対象となるのは弱風コンディション、使用セイルサイズは7.8をミニマムとして9.0台までに適応する板。必然、それに対応するフィンも、ラージセイル用、微風用となります。
回答の前に、まずは質問中の「板をリフトさせやすい」という言葉にちょっと注目したいと思います。フィンのリフトを語る上では、「リフトしやすい」と「リフトさせやすい」の2つがあると思います。 「リフトしやすい」はフィンが板をリフトさせてくれるということ。単純に、どんなフィンでもサイズが大きければリフトしやすくなり、この場合乗り手は(勝手に)リフトする板を、弱風では「軽く抑えて」、強風になるほど「強く抑え込む」ことになります。これは、リフトをフィンの性能に頼りたい技量の人の話です。 「リフトさせやすい」は、技量によって板をリフトさせることのできる人の話。この場合は、自分がリフトさせやすいと感じるフィンに出会うことが大切で、技量=リフトなので必ずしも大きなフィンサイズが必要とは限りません。 質問者はたぶん前者に該当するのでしょう。それを前提として以後の話を進めたいと思います。しかし残念ながら私は当該ボードに乗ったことがありません。もちろんフィンを使い分けたことも無いので、実際にそれに乗っていたプロに聞いてみました。 合志プロが使っていたのはテクトニクスマウイのT43の46センチ。PWAにおいてトップセイラーがそれを使っていたことで注目し、また合志プロがこの板を使うのは8.6に限定していたということもあり、やや大きめと思えるT43の46センチを使っていたとのことです。大柄な合志プロをしてそのサイズのリフトを必要としたということを考えれば、このフィン&サイズはリフトを助けてくれる大いなる選択肢となるでしょう。 Zフィンにはスラローム用のZSLとフラットウォーター用のSFがあります。そして両者には、スラローム用の方が「トルクが高い」=リフトしやすいという特徴があります。しかし前記したようにトルクの高さ=リフトの高さは、吹くほどに板を抑えるという難しい操作を乗り手に要求します。そのため両者には選択肢となるサイズに違いがあり、ZSLなら42センチ、SFなら44センチ。乗り手が大柄ならZSLの44センチ。絞り込むなら、SFの44センチが無難。ちなみに国枝プロはこれを多用していたとのことです。 ERDは高速型で走りがスムーズなフィン。8.6のライトコンディションなら46センチ、8.6と7.8で中風域を意識するなら44センチ。山田プロはこの両者を使い分けていたと言うことです。 ちなみに最近登場したN2フィンと117ワイドの組み合わせを使った経験のあるプロは発見できず(フィンが登場した時にはすでにその板は無かったため)、この組み合わせによるN2の情報は得られませんでしたが、話を寄せてくれたプロたちの話を総合するなら、吹いたときの方が調子いいN2フィンは、ERDに似ている(ちょっと語弊がありますが)だろうとの話。となれば、N2の場合は8.6ライトウインドで46センチ、レギュラーで44センチになるだろうと想像できます。 これらの情報を総合すると、板のリフトをフィンに頼りたい質問者の場合は、Zフィンが良さそうに思われます。その中でも、そこそこトルクがありながらも、トルクフルすぎないSFの44センチ。もし質問者が70キロ超級であったり、技量的にフィンにリフトを大きく委ねたいと考えるならZSLの44センチ。もちろんフィンの選択は個人差が激しいため非常に難しく確定的なことは言い切れませんが、このあたりが無難な選択だろうと思われます。他のさまざまな情報も含めて熟慮する上でのひとつの参考にしてください。 |