スイッチブレードのセッティングと解除

QYさんからの質問

13年モデルのロフトセイルSWITCHBLADE7.3を使用しています。RDMマストとの組み合わせですが、カムの取り外し、特に一番下のカムが上手く外せません。セッティングも含めてその解除方法についても教えてください。なお、マストはロフトではなくシマーの100%の460。カムのスペーサーは、一番下は無し、その上はひとつずつ付けています。

Aそれはまさしく私自身も使っていたセイル。そこで私自身が行っていた(現行モデルでも行っている)組み立て、解体方法を解説しましょう。ちなみにその方法は、たぶんとても丁寧な方法です。上級者であれば「そんな面倒なことしなくても組み立てられるし問題無く解体できる」という人もいるでしょうが、私はなるべくセイルを痛めずにいつまでも新品同様高性能なまま使い続けたいので手間を惜しまないように心がけています。

セッティング

1)マストを通したらダウンを仮止め。その際にダウンはほとんど引かず、写真程度でまさしく仮止めするだけです。そうしたらマストの継ぎ目に隙間がないかをスリーブの上から触って確認、マストトップにセイルのトップキャップが正しく挿入できているかを目視で再確認します。

2)次にブームを仮止めし、アウトを無茶でない範囲でできるだけ引きます。そのときセイルは写真のように、ダウン方向にまったく引かれず、アウト方向にだけ引かれた状態にあります。ここで一番下のカムを押し入れ。この状態であれば下カムは苦もなく入ります。

3)一番下のカムを押し入れたらもう少しアウトが引けるようになるので再引き。そうして残りのカムを下から順に押し入れます。アウトを再引きしなくてもカムは入りますが、それだとバテンが大きく湾曲してバテン先端が折れたりささくれたりする可能性があるのでそれを回避すべく、ひとつカムを押し入れたら(その分だけ引けるようになったアウトを)なるべくこまめに引くようにしています。

4)こうしてすべてのカムが入ったらダウンを引きます。途中必要であれば、カムがマストに対して垂直を保てるようにカムを押し下げる作業を加えながらダウンを所定まで引き切ります。

5)ダウンを引き切ったらブームを本格止め。アウトを所定まで引いてセッティング終了です。

セッティング解除

解体はセッティングのまったく逆の作業です。その際に注意すべきはファスナー。カットオフ(ブーム取り付け位置)をカバーするファスナーと、カムのファスナーの解放を忘れてしまうと、簡単にファスナーが破損してしまうので大注意です。

6)まずはセッティングにおける2)の状態までアウトを少しだけ緩めます。

7)次にダウンを大きく緩めます。

8)上から順にカムを押し外します。アウトが引かれてダウンが引かれてない状態であれば、質問者の悩みである一番下のカムの外しも難無く行えるはずです。

9)カムがすべて外れたらアウトを緩めてブームを取り外し、ジョイントを外してマストを抜いてすべて終了。

過去歴のRS6セッティングでも記していますが、カムが押し入れにくい、外しにくいときの解消方法の基本は「ダウンを引かずにアウトだけを引いて行うこと」。すべてのカムセイルに共通するこの基本さえ忘れなければカムのセッティングに関する悩みはほぼすべて解消されるはずです。

カムスペーサーに関しては、私自身はひとつも入れていません。スペーサーは、カムをマストに押し付けることで、カムとマストの隙間を無くしてカムの「浮きをなくす」ためのものですが、高性能に完成された今のセイルはそうした作業をしなくても(多少カムが浮いていたとしても)ドラフトが不安定になったりしません。性能にたいした影響がないのだから、それよりもスペーサーの力でカムの返りが悪くなったり、カムが強くマストと擦れることでマストの耐用年数が低下したりすることの方が大きくデメリットと感じるのが使用を控えている理由です。ただしこれは当該ロフトセイルに関してのことなので、他メーカーのカムセイルが同様であるかどうかは定かでありません。また当該セイルをシマーマストで試したことがないので詳細はわかりませんが、もしシマーマストが特別細くないのであれば、同様にスペーサーは外してもかまわないでしょう。マストを選り好みしないのがロフトセイルの特徴ですから、外しても問題無かろうと思われます。