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Q:H.Yさんからの質問 JPのスーパースポーツ112からFANATICのHAWK120に乗り換えたところ、ストラップ位置がどうもしっくりきません。スピード重視ではなく、また大きくセイルをアフターレイキしてという技量でもないので、ラクに乗れる位置を模索中。HAWKは前後足ともに外側と内側に取り付け位置があり、また前後調整もできるフリーライドタイプ。後ろ足は外側で良いのですが、前足は踵が板の外に出てしまう感じでフィーリングとしては内側が良く感じます。通常、前後足は外か内かで揃うと思いますが、後ろ足が外側、前足が内側という取り付けもおかしくないのでしょうか。また前後位置も、JPのときは4つのビス穴の後ろから2つ目で前後足ともに良かったのですが、HAWKもそれに準じたところ、横から見るとストラップの真下にフィンがあるほどに、やけにストラップが後ろに感じます。ちなみにビス穴の一番前を使うと、フィンとの相対位置がJPと同じようになります。ここまで自分なりにチューニングしてみたのですが、結果のストラップ位置は、ビス穴にして一番前、しかも前ストラップだけ内側となり、どうも初心者チック。自分なりに中級との思いもあるのでどこか恥ずかしいようでもあり、悩んでいます。 |
A:まず最初に、横から見たときのストラップとフィンの位置関係に関して。これはまったく意識する必要はありません。この相対位置は板のテイル幅や厚さなどさまざまな要素で変わるため、「以前乗っていた板がこうだったから次の板もそれと同じように」というような考え方は一切忘れましょう。
横から見たときのストラップとフィンの位置関係に捕われずに当該ボードのストラップ位置を考えたとき、一般的には、4つのビス穴のうち、スピード指向なら後ろから2つ目、ラクに乗りたいなら前から2つ目になると思われます。ストラップ取り付けのためのビス穴(デルリン)の位置は、その板のデザイン過程において、積み重ねのテストを含めて吟味に吟味を重ねて設定されています。ビス穴は適当な位置にあるのではなく、どの穴も意味を持っているという事実において、記した位置が基本になると考えて間違い無いと思います。 それを考慮して質問者の指向に合わせたストラップ位置をシミュレーションしてみましょう。 ラクに乗りたいとの指向なので後ろ足のビス穴は前から2つ目。後ろ足は外側でフィーリングが良いとのことなので、外側の前から2つ目にセットします。そして前足もそれに準じて外側の前から2つ目にセット。これが質問者にとっての基本位置になるでしょう(すでに試したでしょうが、今一度確認のために)。 次にジョイント位置を考えます。例えばストラップのビス穴が3つの場合、真ん中が基本で、それに合わせてジョイントボックスの真ん中に付けるという基本公式があります。これに照らし合わせると、質問者の場合もほぼジョイントボックスの真ん中にジョイントを設定して間違いなさそうです。 一度まとめます。ストラップは前後足ともに外側の前から2つ目。ジョイントはボックスの真ん中。まずはこれがベースとなるので、これでなるべく多くのコンディションを乗って試してみます。そこから先は、実際に試してのフィーリングとの兼ね合いになります。 もし歩幅が広い(スタンスが広い/少し大股開きな感じで違和感がある)と感じるなら、後ろ足をひとつ前に移動します。そのとき前足は動かしません。このとき、最初に記したように後ろ足とフィン位置の関係は完全無視。スタンスがわずか2センチほど広いだけで違和感を感じる(しっくりこない)ことは多々あるので、そんなときは前記した公式の応用としてこれを試してみると、思いがけず良い結果が得られることも多いです。 もしアフターレイキがしにくい、と感じるなら、ジョイントを1〜1.5cm前に移動します。逆に、強くアフターレイキさせなければならなくて乗りにくいと感じるなら1cmほど後ろに移動です。これは使用セイルの種類やサイズ、年式などによるドラフト位置の違いによって左右される要素です。 もし前足が違和感を感じるほど外側にあると思えるならーーそれは多くの場合、半プレ状態から完プレ状態で前足をストラップに入れると板がアンヒール(乗っている側が沈んで板が傾くこと)することで感じられると思いますがーーその場合は重心がレイル側に乗りすぎている(足が板の縁に近すぎるため)と考えられるので、足すなわち重心を板の中心に近づけるため、前足ストラップを深く設定し治します。通常は親指の付け根がストラップの向こう側にちょうど出る位を適度としますが、足の甲がガッチリと入るまで深く設定し直してその違和感が取り除かれればそれで善しです。 ストラップを深くしたのにそれでもなお前足が外過ぎると感じるなら、質問者がそうしたように前足だけ内側に設定するのは間違いではありません。実際、下に質問者から送られてきた写真がありますが、言うほど変には見えません。大切なのは「使って心地良い」こと。既成概念に捕われすぎてそこを見失うとせっかくの楽しさが半減しかねないので、そこは自分なりのオリジナリティーとポジティブに解釈するのが良いと思います。 ここからはさらにディープにシミュレーションしてみましょう。ファナティックの場合、ストラップは上下に挟む厚手のパーツで固定されるので、ビスの長さがビス穴の底を貫通してしまわないように注意すべきですが、下の写真のような横3つの穴を持つワッシャーでストラップ位置を微妙に操作もできます。 通常は3つの穴の真ん中を使用します(下左写真)。対して、もし端の穴を使用したとするなら(ストラップを端の穴で固定/下右写真)、左右の写真を比較してわかるように、板の同じビス穴を使っていながら、ストラップは1cmほど前に、また1cmほど内側にチューニングできることがわかるでしょうか。
もし質問者が、前足ストラップを外側にセットすると外過ぎると感じ、だからと内側にセットすれば内過ぎると悩むなら、外側を使い且つこうしたディープなチューニングをすることで、外と内の中間点にストラップを設定することも可能だということです。ちなみにこのチューニング、許容範囲の広い今の板では皆無になりましたが、まだ繊細さを色濃く持っていた5年前のスラロームボードまでは、私自身こうすることで、自分の感覚と板のストラップ位置のズレを実際に修正していました。ひとつの予備知識として覚えておくと役立つかもしれません。 |