|
|
Q:Sさんからの質問 RS-ONEの7.8のセイルを使っているのですが、カムの返りがイマイチです。特に上のカムが返りにくく、チューニングとカムの返り具合の相関関係がわからないため苦慮しています。そこで、1)カムが返りにくい場合の原因として考えられるのは、2)バテンテンションとカムの返りの関連、3)カムスペーサーの存在理由と調整方法、に関して教えてください。 |
A:私自身がRS-ONEのセイルを使っているわけではないので調査報告になりますが、指定マストを使う当該セイルが「返りにくい」ということはあまりなさそうです。もちろんカムを返すにはそれなりの技術が必要で(両手同時に風を受けるのではなく、後ろの手で瞬間早く風を受けることでセイルに風を「後ろから前に」流す)、また微風で返りにくいのは仕方の無いことですが、いずれの場合にしても、手応えを感じる程度の風があればすんなり返るとのことでした。
カムの返り良さや悪さは、ダウンやアウトのテンションに大きく影響を受けます。ダウンの場合、緩すぎると(ドラフトが深すぎるため)カムは返りにくく、そこから適正テンションに近づくほど返りやすくなります。しかし適正を超えて引きすぎると、今度はカムが「浮いた状態」になって(ドラフトが適正に形成されなくなり)再び返りにくくなります。アウトも同様。緩すぎると返りにくく、適正だと返りやすいけどそれを超えて引きすぎるとまた返りにくくなる、という具合です。そうした意味では、カムが最も返りやすいところが、ダウンとアウトの適正テンションだと言うことができるかもしれません。 バテンテンションが強すぎるとカムは返りにくくなります。どうしてもカムが返りにくいなら、バテンテンションをパネルにシワが少しできるくらいまで大胆に緩めてやることが必要な場合も多々あります。特にニールの場合は、RSレーシングも含めて(現在のウルトラカムも含めて)この傾向が強く見られるので、他のセイル、例えばセバーンのようにパネルに一切のシワが無いまでテンションをかけるのは明らかな強すぎだと理解しておくことが必要です。 カムスペーサーは、カムがマストから「浮いた」状態、すなわちカムがマストに密着しない場合にその隙間を埋めるためのパーツ。しかしカムスペーサーを入れるほどに(カムがマストに「押し付けられる」ため)カムの返りが悪くなるので、カムの返りを良くしたいならスペーサーは一切取り外すべきです。ちなみにスペーサーを外してカムとマストの密着度合いが落ちたとしても、今のセイルはセイル本体のデザインがしっかりとフォイルを形成してくれるので大きなデメリットは無いので安心です。 まとめると、対処方法としては、1)ダウン不足ならもっと引く。ダウン過多なら緩める。2)アウト過多なら緩める。3)バテンテンションを緩める。4)カムスペーサーを外す。このうち3と4は簡単に実行できると思いますが、1と2に関しては、チューニングとして使い込みながら色々と試してみる時間が必要でしょう。 |