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Q:S.Aさんからの質問 スラロームボードのストラップ位置に関して。前後足ともに複数の取り付け穴がありますが、そのどこに取り付ければ良いのでしょうか?ボード性能を一番発揮できるポジションはどこなのでしょうか? (特定ボードに関しての質問でしたが、このコーナーではさらに範囲を広げて解説します。特定ボードに関しては個別にお答えいたしました) |
A:通常、ストラップ位置はテイルから計って決めます。スラロームボードの場合は一般的に、 1)テイル〜後ろ足の後ろのビスまで/約20センチ 2)後ろ足の前のビス〜前足の内側のビスまで/自分のスタンス が基準です。ボードの長さに関係なく、テイルからのこの関係は変わりません。もし変化するとしたら、ボードのテイルボリュームによって、1)が18〜24センチの範囲で変化することです。テイル幅が広い、もしくはテイルが厚いほど18センチに近く後ろにポジションさせ(後ろに乗ってテイルを抑える)、テイル幅が狭い、もしくはテイルが薄いほど少し前にポジションさせる(前に乗ってテイルを浮かせる)わけです。 スタンス(2)は、人それぞれで異なりますが、基本的には身長から判断できます。 身長170以下の場合/スタンス38センチくらい 身長170〜175くらい/スタンス38〜40センチくらい 身長170以上/スタンス40〜42センチくらい |
を基準としてください。但しこれはあくまでも一般例にすぎません。たとえば、普段ウェイブに乗ることの多い人はスタンスが広め、風が弱い中で乗ることが多くて吹いてもスラロームばかり乗っている人は狭めになるでしょう。これは、ウェイブは基本的にスタンスが広いのでそれに慣れているし、風が弱い中で乗ることが多いと自然と狭いスタンスに慣れているという理由によります。他にも、アンダー〜ジャストセイルで乗る人は狭めでオーバーセイルで乗ることの多い人は広め、波が無い中で乗ることの多い人は狭めで波の中でカッ飛ぶことの多い人は広め、などがあります。 |
ここまでは、後ろ足のポジションをまず決定して、それを基準に自分のスタンスに合わせて前足ポジションを決める方法でした。が、そもそも基準となる後ろ足ポジションが見極められないとどうしようもありません。そこで次に、実際にセイリングから前足ポジションをチェックして、不都合があれば前足ポジションを変更、それに伴って後ろ足ポジションを(スタンスに合わせて)調節する、というチューニングが必要になります。 前足ストラップ位置は、体重や使うセイルサイズ、使うセイルのタイプ(カムの数によるドラフト位置の違い)などで影響を受けます。そこで、ジャストからオーバーセイルにおいて、限界スピードで走って(イージーなコンディションだと本当のストラップ位置が発見できない)最終的な確認を行います。その方法は、ウネリを追い越したときにノーズが水面に当たる、もしくは貼りつく感じがする場合は、前足ストラップを穴1つ後ろに移動してノーズを少し上げてやります。また、ウネリに対面して乗り越えるとき、もしくは平水面においてオーバーセイルで走っているときにノーズが立ち上がるようならば(コントロールできないほど舞い上がるなら)ノーズを抑えやすいように穴1つ前に移動します。こうしてチューニングをしても症状が改善されなかったら(移動可能の場合)さらに後ろに、もしくは前に付け替えてやります。 さらに付け加えるならば、体重が重いほどテイルが沈み込んでしまうので(プレーニング初速が悪くなる)、もしテイルをいつまでも引きずって走り出しにくいと感じたら前後足とも前に移動させてやるという方法もあります。 いずれにしても、ストラップ位置というのは、基本はあるけど人それぞれの応用もある、ということなので、誰かの真似をすれば良いというものではなく、いろいろな位置を試しながら自分なりのポジションを発見することが大切。自分なりのポジションを発見する作業は面倒ですが、そうした行為もまた、チューニング知識やボードとの一体感を深めるための重要な要素になるのです。 |
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