フリースタイルセイルチューニング

QT.Mさんからの質問

ノースセイルDISCOの6.9と5.9のセッティングについて数字で教えてください。

Aここでは数字で教えるのはやめたいと思います。たしかに数字で言ってしまえば、その通りにセットすればいいわけだから楽ですが、1)マストが違えば数値も変わる、2)全く同じセイルとマストでも(セイルが布を縫い合わせてある以上)微妙な数値の誤差ができる、3)セッティングを理解することがウインド上達の上で必要不可欠、という理由で、自分でノースセイルのセッティングを発見できるように解説しておきます。

まずは左の写真。ノースセイルのDISCO5.9に記されているセッティング表示ですが、BOOMが182-185、LUFFが453-456と数値に幅があるのがわかるでしょう。この数値幅は「その数値内に的確なセッティングがありますよ」という意味。もちろんアンダーセイルであれば小さな数値に近く、風が強いほど大きな数値に近くなります。

この数値の中から難しいのはダウンテンションを示すLUFF数値。これはマストの長さにジョイントエクステンションを何センチ伸ばしたか?の合計数値です。

ノースセイルのDISCOの推奨マストはXCELLERATOR60/430かVIPER75/430。そしてそのどちらを使うか?で必要なテンションも変わるのです。VIPER75の方がカーボン含有率が高く、そのためXCELLERATOR60よりもテンションがきつく、よって引くべき数値も少し少なくなるでしょう。ちなみにVIPER75を使用した場合はLUFF453〜453.5センチです。

しかし実際は何センチ引いたか?などで判断しません。ノースセイルにはビジュアルトリムシステムという目印があるのでそれで判断します。前述したように何センチ引いたか?で判断するとマストの違いや縫いの誤差がまったく考慮されませんが、ビジュアルによってセッティングできれば誰もが正確にセットできるからです。

ダウンを引くとセイルのリーチ(セイルの上の方)には右のようにシワができます。このリーチのシワがどこまでできたか?で判断するのがビジュアルトリムです。すでにご存じだと思いますが、セイル上部のこのシワができるあたりには楕円の中にminとかmaxなどの表記があり、その楕円位置と出来たシワの端の位置関係で判断します。

基本的に、そのmaxのところ、もしくはそれを少し越えるところまでシワができるようにダウンを引いてください(左の写真の黄色で示した部分)。一般的には風が弱いと弛めたくなりますが、ノースセイルは弛める必要はありません。弛めなくてもアンダーの性能がさほど低下しないので、いつも同じだけ引くようにしましょう。

アンダーやオーバーへの対応はアウトテンションで行った方が効果的です。アウトについては好みがあるので目安の数値も言いにくいのですが、例として私の場合はマックスに近く(185センチ)引いています。プレーニングするときはもう少し強めに引くときもあります。そして、微風フリースタイルを楽しむようなノンプレーニングコンディションでは、それより2センチほど弛めてドラフトを深くしてパワフルに手応えを感じやすくします。それの方がトリック時にバランスが取りやすいからです。

ここまでは目安の数値も含めてすべてDISCO5.9を例に解説しました。もうひとつの質問である6.9に関しては、残念ながら使用していないので具体的数値を持っていません。しかしここまでの説明に即してセットすれば数値以上に正確なセッティングができることでしょう。