スピードトライアル

QM.Hさんからの質問

今年からスピードチャレンジしてますが記録が伸びません。現在の最高速は49.6km/h。ブローを捕まえて下らせることにも慣れて恐怖心はあまりないのですが、記録を伸ばすためにあと何が必要なのか、今ひとつ記録が伸びない理由がどこにあるのかわかりません。参考までユーチューブの動画をアップしますのでアドバイスをお願いします。

A動画を含めての質問は初めてなので興味深く拝見しました。動画にはリンクを張らないので、ご本人以外の方はわかりにくいかもしれませんが想像で読み進めてください。

ハーネスラインが29センチとの情報上、決して長過ぎることはないはずなのに、ラインが長過ぎる時のような「尻が突き出た=腰が引けた」フォームに見えます。ここに少し違和感を感じます。その理由を考えると、「丹田で引ききれていない」ことを示唆しているように思えます。

セイルの引き込みがやや不十分で、また不安定。海面状況の割にはセイルのブレが大きく、セイルが起きたり倒れたり、また閉じたり開いたりと小刻みに動いています。そのためリーチがひらひらと動いて風を乱して見えます。この原因もフォームに起因していそうです。

改善方法としては、まずはハーネスフックの位置を再調整。画像上、ハーネスが「ズリ上がった」状態でフック位置が高く、そのため尻を突き出すようにして踏ん張らざるを得ないようで、それがフォームを乱す原因と思えるからです。

ウェストハーネスをもっと下に引き下げ、フック位置を低く設定しましょう。フックがヘソ、もしくはそれよりも下に位置するように調整することで今より少し「腰が伸びた」フォームに改善します。そのとき、きっと今よりもセイルに「腰が持って行かれる」ような感覚になるでしょう。抽象的な表現ですが、それは「体が『引っこ抜かれる』ような」パワーを感じるとも言い換えることができます。そのパワーを両足からストラップを介して板に伝えることがスピードアップには重要。

フック位置が高い今のフォームでは板を抑えすぎてしまい、セイルパワーが漏れて板の浮き上がりが抑制されすぎています。ヘソにフックを位置させてヘソ近辺に力が集中する丹田フォームになるだけで、今よりも板が浮き上がり、ボトムと水面の摩擦抵抗が減少することでもっとスピードが伸びるはず。画像に見える板の両脇から上がる飛沫が減ることで、その成否が確認できるでしょう。

いくらかの試行錯誤と時間を要するでしょうが、フォームが安定すればセイルの引き込みも安定します。引き込みの安定とは、単に強く引き込むということではなく、引き込んだセイルがブレないように固めて動かさないということ。セイルがブレるとツイストの発動が不完全になりますが(ブレたセイルが風を乱してしまうから)、セイルがブレなければセイル上部が今よりも大きくツイストし(しなり)、特にスピードのために下らせた時はもっとリーチが開いて、開いて引っ張られた分だけリーチにはテンションが行き渡るようになります。ここまでくればもう50km/hは悠々と越えているはず。もしかしたら60km/h越えも見えてきているかもしれません。