アビームからのラフ

QT.Yさんからの質問

アビームからクローズに向きを変えるとき、よくスピンアウトして横流れしてしまいます。原因と対策を教えてください。当方、体重65kg、身長170cm。JP SUPER-X104とガストラMATRIX7.0を使用しています。

Aアビームからクローズに向きを変えるとき、それまでと同じ体勢(体が寝た状態)のままラフしようとしていませんか?それだとボードは、ラフしてノーズをクローズに向けたとしても、それまで向いていた方向(アビーム)にそのまま走り続けようとします。すなわちノーズはクローズを向いたけど走り続ける向きは相変わらずアビーム方向。だからスピンアウト&横流れします。

素早く、的確にアビームからクローズへとスイッチするには、ラフの際に少し体を起こしてやります。それまでの風上にハイクアウトした(寝た)体勢から、一瞬、且つわずかで良いので体を起こしてラフ。ラフしたら再びハイクアウトの体勢に戻ってクローズのセイリングに入る、という手順。エキスパートはこの動作を、瞬時に、的確に、最小限に行っているのです。

ジャストの風ならこの手順を踏まなくてもクローズに移行可能ですが、オーバー気味のときは特にこの動作が必要。さらにオーバーでは、体を起こすと同時に瞬間セイルを開くという動作を追加します。これは、瞬間セイルを開いて「風を取り直す」イメージです。

セイルを引き込んでガンガンにアビームを走っているとき、ボードにはアビーム進行方向に向けた大きなベクトルが働いています。クローズに向くとは、このアビームに向いたベクトルをクローズ方向に変化させてやる必要がありますが、ベクトルの方向変化をスムーズに行うにはキッカケが必要。そのキッカケが、「体を少し起こす」さらには瞬間「風を取り直す」という動作なのです。

これはタックでも同じです。プレーニングクイックタックの際には、体を起こして、ラフのために風上レイルを入れる直前に一度セイルを開いてやります。セイルを瞬間開いて(これでそれまでのベクトルと決別)、次に強く閉じると同時にレイルを入れてラフ(これで新しいベクトルを作る)。これをしないと、ラフが非常に鈍重に横流れし、大回りになって失速します。さらにはジャイブでも同じ。ベアしてレイルを入れる前に、必ず体を起こします。ここで瞬間セイルを開いて、再びセイルを強く引き込むと同時にレイルを入れてやると、それまでの直線スピードをすべて回転スピードに変換できて、非常にハイスピードなレイルジャイブが完成します。すべては、「ベクトルの方向を変えるとき」という共通点で、同じ動作でつながっていると言えるでしょう。