ショートノーズボード対策

QH.Hさんからの質問

先日、小波の中でF2 SX105に乗ったところ、波を下りるときにノーズが突き刺さってしまいました。あの手のショートノーズボードは波との相性が悪いのでしょうか?またSX105に8.0の組み合わせは無謀でしょうか?ちなみに当方体重65kgです。

A流行のショートノーズスラロームボードは波を下りるときにノーズが突き刺さりやすい、というのはある意味で事実です。「ある意味で」というのは、そこに「乗り方によって」という条件が介在するからです。

実は私もノーズが突き刺さりやすいと感じるひとりです。そして多くのプロたちも同じように感じています。たとえばSTARBOARDのHYPERSONIC。正直、私はこのボードにまともに乗れません。わずかな波にノーズが突き刺さるどころか、プレーニング中に前ぶれなくノーズが水面下にのめり込んでしまうことさえあるから怖くてスピードも出せません。しかし調べてみると、実際にHYPERSONICに乗ってもそんな経験は一度もしたことがなく、とっても乗りやすいという人もいます。なぜそうした違いがあるのか?を考えてみると、どうやらそこにはマスト加重が影響しているようなのです。

スラローム系ボード、特にショートノーズではないボードに乗り慣れている人は、オーバー時などにノーズを抑えるという行為が常識化しています。つまりマスト加重をマスターしています。対してスラロームボードに初めて乗った人や、まだ乗り慣れていない人たちはマスト加重というテクニックがまだマスターできていません。そしてショートノーズは、マスト加重ができない人たちの方が乗りやすく感じるのです。ブームを高めにつけて、マストを立ててセイルを十分に引き込んでノーズを抑え込むマスト加重ができてしまうと、ショートノーズのノーズは時として水面に突っ込みますが、ブームが低めだったり、セイルの引き込みが不十分だとそれだけノーズが抑えられず、その分だけノーズが突っ込みにくくなるということです。

実は私も現在SX105に乗っています。その上で、ノーズののめり込みという減少を解消するために、まずジョイントを少し後ろに(中心よりも2cmほど後ろ)、ブームの位置は変えていませんが、少しハーネスラインを長くすることでブームを下向きの抑えつける力を弱く、わずかですがセイルを横向きに引いてセイルを引き込むようにしています。また前足ストラップを、ストラップにある3列の穴の一番内側を使うことで少しレイル寄りにセットしてフットポジションをレイル寄りにすることで、ボードを上から抑えるのではなく、少し横からプレッシャーをかけられるようにしました。これはわずかなチューニングとテクニックの応用ですが、マスト加重によってショートノーズのノーズの挙動が変化することがわかっていれば、こうしたわずかな心遣いでグンと使用感が変わってきます。

今のところショートノーズは流行で、今後もその傾向はしばらく続きそうに思われます。そうした中では、道具に合わせた乗り方をマスターしてゆく、というのも必要なのかもしれません。最後にSX105に8.0は無謀ではありませんが、できれば7.5以下の方が相性が良いでしょう。