Q：H.Sさんからの質問

フォーミュラでの上り角度が取れずに悩んでいます。クローズ中、前足が曲がってしまうのですが、回りの人はリラックスして両足を同じように伸ばして見えます。この違いはどういう意味を持っていて、どんな違いがあるのでしょうか？

A：クローズで前足（前膝）を伸ばすのは、クローズ角度とスピードを向上させるための非常に重要なテクニックです。特にアンダーの場合、普通は前膝が極端に曲がってしまいますが、これだとノーズが左右にフラフラするために角度が安定せず、スピードの伸びも失われます。対してコンディションに合わせて適度に膝が伸びていると、ノーズが抑えられるため角度が安定しスピードが伸び、スピードが伸びるからさらに角度も良くなります。

とは言え、前膝を伸ばすテクニックは非常に難しく、フォーミュラクローズがそこそこできるようになった人の、最後にマスターすべき最高難易度のテクニックだと言えます。重心位置、ストラップの使い方、セイルの引き込み度合いとマストの立ち具合、ハーネスワークなど、すべてのテクニックに加えて、ジョイント位置やブーム高さなど、すべてのチューニングができていないと前膝はなかなか伸びてくれません。アンダー時に無理に前膝を伸ばそうとしたら、きっと角度が失われてまともにクローズが走れないはずです。このように、何かをすればすぐに前膝が伸ばせる、という簡単なものではないのです。

それでも幾つかの注意点があるので記しておきましょう。まずチューニングについて。ジョイントが前過ぎる、ブームが低すぎる、と前膝は伸ばせません。またテクニックとして、前足を深くストラップに入れる、重心位置をマストに寄せすぎない、ボードコントロールを後ろ足だけで行っている感覚を磨く、そしてもちろんセイルを十分に引き込んでマストを立てる、ことで前足が伸ばしやすくなります。ひとつひとつ意識しながら、現状の自分をスキルアップさせることで、最終的にアンダーでも前膝が伸ばせる域に到達できるように頑張ってください。

ボードを挙動を見てみると、前足が曲がっている場合、ボードのヒールが付いたり無くなったり、ノーズが上がったり下がったりと不安定。それが角度とスピードを奪う。対して前膝が伸ばせればヒールは安定し、ノーズ上下動は無くなる。