ノーズを抑えるために

QJ.Nさんからの質問

スピードが大好きでスラロームに乗っています。以前、草レースでプロの走りを見たときに、ノーズの上下動の少ない(ピッチングの少ない)走りに感心しました。普段からマスト加重には気をつけていますが、波やウネリに合わせたノーズ上下動の抑え方があれば教えてください。

Aマストを立ててセイルをしっかりと引き込むことでマスト加重が行えていれば、ノーズ上下動はかなり小さくなるはずです。が、それでももっとノーズを抑えたいとしたら、次にはボードトリムに意識してみましょう。

たとえばあなたが車に乗っているとします。地面はデコボコのオフロードなのにスポーツカーに乗っている。もしその車のサスペンションがアメ車のように非常に柔らかかったとしたら?たぶん車は地面のデコボコで上下に激しく飛び跳ねてしまうでしょう。ではそうならないためには?サスペンションを硬くすることです。

ウインドでもこれと同じことが言えます。よくスクールなどで、波やウネリのショックを和らげるために膝を柔らかく使って吸収する、と語られますが、スラロームでそんなことをしたらオフロードのアメ車になってしまいます。実際にはそのまったく逆。膝というサスペンションを硬くしてボードを地面(海面)に抑えつけるようにするのです。それによってノーズの上下動が抑えられます。

そのためには膝を意識することが大切です。まず最初にすべきことは、スキーやスノボーでもそうであるように「膝を絞める」動作。多くの場合(特に男性の場合)、セイリング中は少し「がに股」に膝が開いてしまってます。ストラップが「八」の字にあるから、どうしても膝が開いてしまうのです。だから意識して、両膝を少しだけ近づけるようにして膝を絞めます。それだけで今までよりも格段にサスペンションを硬くできるはずです。

さらに膝の曲げ具合にも注意しましょう。膝は、アンダーであるほど曲げ、オーバーであるほど伸ばします。これは同じノーズの上下動でも、ヒールのような動きから影響される上下動をコントロールする大切な要素です。ボードは、膝を曲げるほど風上レイルが上がり、伸ばすほど風上レイルを抑えやすくなります。風が弱いのに膝を伸ばしすぎたら風上レイルが沈んでアンヒールしてしまうし、風が強いのに膝を曲げすぎたらヒールが付きはじめて、その挙動がノーズの上下動を誘発するので、そうならないために、風の強弱で、どのくらい膝を曲げ、伸ばせばちょうど良くボードを抑えることができるかトレーニングしてみましょう。もちろんガスティーなコンディションでは、風の強弱に合わせて膝の曲げ伸ばしを微妙に調節する必要があります。

スピードアップしたときのノーズの上下動は、単純な上下動と、ヒールから誘発される上下動が絡み合って起こる。単純な上下動は膝の締めで、ヒールからの上下動は風の強弱に合わせた膝の曲げ具合でコントロールする。