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Q:E.Mさんからの質問 平水面でキックジャンプを練習しているのですが、少しノーズが浮き上がるだけで飛びません。どうしたら飛べるのでしょうか? |
A:キックジャンプで大切な要素は3つあります。それは、タイミング、ノーズの向き、テクニック、です。多くの人がその中のテクニックだけに集中してしまうために上手に飛べないのです。そこで、それぞれを順を追って説明しましょう。
平水面とは言っても、プレーニングできるだけの風が吹けば、海面は少なからずデコボコしてきます。まず最初に、そのデコボコ(ギャップ)を使うことが大切。自分の進行方向斜め風上のギャップを見ながら、水面の盛り上がったところにタイミングを合わせるのです。飛ぶというのはノーズを上げる作業ですから、ノーズが飛び上がりやすいように、水面の盛り上がりの小さな斜面を探してやるのです。それはほんの10cmほどの小さな波の斜面をロケット台のように使う、という意味です。
もし、アビームやクォーターを向いていたらボードは飛びません。ノーズが風下を向くほどマスト加重が強く、それがノーズを水面に抑えつけるように作用するから。なので、飛びためにはそのマスト加重が最も少なくなり、ノーズを抑えつける力が弱くなる「少し風上」にノーズを向ける必要があります。ただし最初からクローズを向いていたのでは飛べるだけのスピードが出ないので、要領としては、アビームで十分なスピードに乗って、水面のギャップにヒットする瞬間に軽くラフさせる、という動きになります。
タイミングと向きが合えば、あとは無理な動きは必要ありません。それだけでボードは飛び上がろうとしますが、さらに完全に飛び上がるために補佐的テクニックが必要になります。 その方法は、まず、水面のギャップにヒットしたら、前足の加重を抜きます。前足の加重を抜くとは、後ろ足加重になるということなので、このときの意識としてはテイルを沈めるような感じになるでしょう。そうしてテイルを沈めて前足が浮き上がり、ノーズが飛び上がり始めたら、そこから前足の膝を曲げるようにして引き上げます。すると次に、沈んだテイルが水面からの反発で浮き上がろうとするので、それに合わせて後ろ足を引き上げます。言葉にすると簡単ですが、これらは一瞬で起こるので、繰り返し練習して感覚を養う必要があります。 エキスパートになれば、水面のギャップを使わなくても、もしくはクォーターを向いていてもジャンプできますが、練習段階ではこの3つを上手にリンクさせることが課題となります。練習中はラフしすぎてスピンアウトするように沈したり、テクニック的なタイミングが合わずにまったく飛ばないことも多いでしょうが、3つを忘れることなく意識し続ければ、キックジャンプが成功する近道が見えるはずです。そうしてわずかでも飛べるようになったら、より大胆にテクニック面を強調して大きな動きを行うことで高く飛ぶ練習をします。その頃にはたぶん、バルカンくらいには挑戦できるようになっているでしょう。 |
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