A：オーバーセイルでラフしてしまう（デッドゾーンに向いてしまう）理由は幾つかありますが、その中でも主な2つは、セイルがちゃんと引き込めない、それと、テイルを蹴ってしまうことでしょう。

オーバーセイルになるとセイルの風圧中心は後ろに移動します。それは極端に言うと、ブームの後ろ側に強い力がかかるということ。だからセイルを引き込むのが難しく、引き込めずにセイルが開いてしまうから裏風を受けてセイルに潰されてしまうわけです。それに対抗するために、普通は無理にセイルを引き込もうとしますがこれは間違い。そうしたやり方をしている人は、いつまでもオーバーセイルが乗りこなせません。大切なのは、セイルを引き込むのではなく、マストを立てる意識。ようするに前の手でマストを押し出すようにして、通常以上にマストを真っ直ぐに立てる意識です。

また押し出したことで、セイルのアフターレイキ（セイルが後ろに傾いていること）も少なくなり、すなわち少しブームエンドが上がった状態になります。そしてアフターレイキが少なくなるということはベアの力が発生するということで、その力がさらにラフを抑えてくれます。

もうひとつの、テイルを蹴るというのは、セイルを力で手前に引き寄せようとすると起こる現象です。セイルを手前に力一杯引き寄せるには、それを支える力が必要で、それが両足でボードを横向きに蹴ってしまうわけです。だからオーバーセイルでは、セイルを手前に引き寄せてはいけません。このコーナーでも幾度も解説していますが、マスト加重でセイルを抑えつける意識が必要（マスト加重を知ってるか？2000版参照）。マスト加重でセイルを抑えつければボードを蹴る力は減少し、結果としてテイルを蹴ってラフすることがなくなるということです。