Q：Ｍ.Nさんからの質問

オーバーセイルで、セイルアップやタックのあと、デッドゾーンに向いてしまって上手く走り出せません。ベアをしたくても裏風を受けて沈してしまいます。先日もこれを繰り返して流されそうになり、友人にはボードの後ろに乗りすぎているのではないか、と言われました。どうすれば上手く走り出せるのでしょうか？

A：オーバーセイルでは、セイルを引き込む動作が難しくなるので、いつもと同じようにベアしようとしても無理です。では、どうすればいいのか？その前に「ベアとは何か」ということを今一度理解しておきましょう。

ウインドサーフィンのベアがブームエンドを上げることで行われるのは誰でも知っています。しかしショートボードだと多くの人がこの普遍の原理を忘れがちなのです。ここに多くの人がベアできずに悩む原因があります。それともうひとつショートボードの場合は前足でノーズを押す動作がベアを助けることを覚えておきましょう。前足で押す動作をせずに無理矢理セイルを引き込もうとすると、後ろ足加重になって余計にラフするので注意です。この「ブームエンドを上げる」と「前足でノーズを押す」動作がリンクして初めてオーバーセイルのベアが可能になります。さらにこの2つを実行するためにはブームにぶら下がるという動作が必要。オーバーセイルなのだからセイルを思い通りに支え続けるのは難しく、それでも上手にベアするためには、ブームにぶら下がって、ブームエンドを上げながら、前足でノーズを押す、という手順が必要ということです。では、写真を使って実際にその方法を見てみましょう。

1）まずは膝を曲げて、両肘を曲げてブームの真下にぶら下がる。このとき意識してマストに向けてぶら下がるようにするとブームエンドが下がらない。多くの場合ここでセイルを引き込もうと無理をして、その動作がブームエンドを下げてしまうからラフするのだ。もちろんここでは両足ともストラップには入っていない。

2）ブームにぶら下がった体を風上に倒すようにして、少しだけブームエンドを上げながらセイルを引き込み、同時に曲がった前膝を伸ばしてノーズを押す。ここで後ろ足加重になるとブームエンドが下がってラフしてしまうし、重心が高いとブームエンドを上げながらセイルを引き込む動作ができずに前に飛ばされやすくなるので注意。

3）相変わらず上半身はブームにぶら下がりながら、前足を完全に伸ばす。後ろ足の膝の曲がりを見れば、どれほどブームに強烈にぶら下がって重心を低くしているかわかるだろう。

4）最後に、伸ばした前足を、ノーズをプッシュした反動で手前に戻す。もちろんここでもブームにぶら下がり続けているし、ブームエンドも下がっていない。そして前足をストラップに。後ろ足を入れるのは、さらにこのあとハーネスをかけてからだ。