ショートボードクローズ

問題はセイルの引き込み方にあります。普通、セイルを引き込もうとしたとき、セイル手(後ろの手)でシートインしようとするでしょう。しかしショートボードでは、その普通のやり方では引き込みが不十分になってしまうのです。右の写真がそれ。自分では出来る限り引き込んでいるつもりでも、外から見ると引き込みはまだまだ不十分な状態です。

セイルを完璧に引き込みには、体の向き(胸の向き)が非常に大切です。クローズでは胸を真横に向けるようにして、(テイル側の)腰の捻りでハーネスを引き込む。この動作があって初めてセイルが完全に引き込めるようになるということを覚えておきましょう。それが右の写真。上の引き込みが不完全な写真と比べると、体の捻りに違いがあるのがわかるでしょうか?

この利点は、「マストが立つ」というところにもあります。セイル手だけでセイルを引き込むと、マスト手は固定位置にあるためにマストはカイトしたままですが、体を捻って引き込むと、ブームエンドは引き込まれ、その反対にマストが自然と立ちます。これがさらにクローズのパワーを生み出してくれます。(もう一度、上の2枚の写真を比較して確認してみてください)

胸を横方向に体を捻ってセイルを引き込むには、後足の向きに注意することも忘れてはなりません。たとえばアビームを走るときのように後足が横向きだと、左の写真のように自然と体が半身、進行方向を向いて体がとても捻りにくくまります。

対して後足のつま先を若干テイルに向けるようにすれば、胸は自然と横を向き、特別に意識しなくてもより強く引き込めるようになるでしょう。このとき、踵をしっかりとレイルにかけ、ストラップよりも足の裏全体でボードをホールドすることを忘れないように。

もうひとつ、セイルを引き込む最後のひと引きのところで、セイルがアフターレイキしないように注意することも覚えておいてください。これはセイル手(後ろ手)を押し下げるように引き込むのではなく(無意識だと自然とそうなってしまう)、少し引き上げるくらいの気持ちで最後のひと引きを行うということです。これを意識すると、自然と前肩が少しノーズに寄り、マスト加重が強まってクローズアングルが安定します。もしこれを意識せず、無意識にまかせてセイルを引き込むと、アフターレイキが強まって、ボードのテイルが水面に潜り込み、角度が安定しないばかりでなく、テイルが滑るような失速につながってしまいます。