プレーニングへのエントリー

QY.Tさんからの質問

レジャーウインドサーファーから脱却すべく現在、プレーニングを真剣に練習中の50歳です。前足をストラップに入れ、セイルに風を入れて走り出してから、どのようにアビーム走行(俗に言う横乗り状態)の姿勢に変えれば良いのかわかりません。色々と試してみてるものの、多くの場合すぐにラフしてしまいます。風速によって動き的な違いがあるのかもしれませんが、それも不鮮明です。

Aまず最初に、ウインドの基本を思い出しましょう。ウインドサーフィンの向きが変わるのは唯一、水中抵抗中心と風圧中心にズレが生じたときだけ。これは超ビギナーの時に理解しただろう理論です。と言うことは、ラフしてしまう原因は水中抵抗中心よりも風圧中心が後ろ(=テイル方向)になっているからということ。すなわちセイルをアフターレイキしすぎるから(後ろに傾け過ぎるから)に他なりません。まずはこの基本中の基本を忘れずに。

次に、その基本理論ほどではありませんが、他にもプレーニングに関して二次的に板をラフさせる要因があります。そのひとつが後ろ足を蹴りすぎるという行為。後ろ足でテイルを蹴りすぎるとその反作用としてノーズが風上へ向く、すなわちラフする。もうひとつは強風に限ってですが、セイルが引き込めずに開いていることに起因する現象。強風でセイルが引き込めずにいると、硬質ではないセイルはその柔軟な素材ゆえに風圧中心(ドラフト)が設定よりも後ろへ動いてしまいます。引き込めれば、その後ろに移動したドラフトが再び設定通りに前へと戻ってくれるのですが、引き込めずにい続けるとドラフトは後ろのまま。それはブームエンドが下がる(必要以上にアフターレイキする)とかの理由なしに風圧中心が後ろに動いてしまうということで、結果として水中抵抗中心とのズレが生じてラフします。

質問から推測すると、質問者は前足をストラップに入れた段階ではまだラフせずにどうにか板はアビーム方向に向いているのだと思われます。しかしその後、わずかな時間の間にラフしてしまうのでしょう。そのジレンマを解消するための、たぶん最も有効的な方法は「後ろ足の位置」です。

前足をストラップに入れたら、後ろ足はそのすぐ後ろ、具体的には前足の踵と後ろ足の踵の間隔が30センチくらいを目安にスタンスしましょう。それはほぼ「棒立ち」の状態。それで良いです。この時、後ろ足が板の中心線に寄らないように、出来るだけ踵が板のレイルにかかるように注意します。

意識すべきはその時の「体軸」。その軸とは、狭いスタンスの前後足の中心と頭のてっぺんを結んだ線とイコールです。ラフするのは、この「軸」が後ろに(テイル方向に)傾くから。軸が後ろに傾くとそれに連動してセイルも後ろに傾く=アフターレイキが強まる、だからラフする。すなわちラフしたくなければ、この「軸」を後ろに傾けないようにすれば良いということになります。

さらに、軸を後ろに傾けることなく、もっとセイルを引き込むことも必要になります。特に強風では。ならば軸を安定させて、その上でセイルを引き込むにはどうすれば良いのか?

前足をストラップに入れて「さあ、プレーニング」という場面、必須としてセイルをもっと引き込もうとするでしょう。引き込む前はセイルは45度ほども開いているかもしれません。その「開いた」セイルを引き込もうとする。その場面をイメージしてみましょう。

たぶんその時、ハーネスはかかっています。特にプレーニングビギナーの場合はハーネスを使って板をプレーニングへと導くという行為が有益なので、多くの人がそれを意識して事を進めるはず。ゆえに、ハーネスを使ってセイルを引き込もうとしていることでしょう。

ハーネスがかかった状態の時、胸の向きとセイルは正対して連動します。すなわちセイルが45度開いているということは、胸の向きもまた45度開いた状態にあるということ。そこからセイルを引き込むには、胸の向きをまさしく横乗り状態になるようにしなければなりません。しかしプレーニングビギナーの多くの人は、ハーネスラインを真っ直ぐに引いてしまいます。胸の向きが45度を向いたまま、真っ直ぐに後ろへと引いてしまう。だから軸が後ろに傾き、セイルがアフターレイキして、風圧中心が後ろに移動するからラフする。

そうならならないためには「軸」を意識して保つこと。そして軸を傾けずにセイルを引き込む。そのためには、ハーネスラインでセイルを「引いて」引き込もうとするのではなく、軸を中心に「体を捻って」セイルを引き込む。具体的には、斜め前を向いた胸=上半身だけを横乗り方向に捻るように。それは後ろの脇腹だけでハーネスを引く感覚とも言い換えることができます。とても抽象的な言い回しですが、感覚としてはその表現が一番合っていると思います。

この時、後ろ足を無理して後ろ足ストラップに入れてたり、もしくはそれに準ずるくらいスタンスが広くあると、後ろ足で板を蹴りすぎてラフしやすくなります。でも冒頭記したように狭いスタンスであれば、後ろ足を強く蹴ってもラフしにくい。蹴る場所がテイルに近いほどラフしやすく、テイルから遠いほど同じ力で蹴ってもラフしにくいというモーメントの力関係です。

これらの行為によって加速に成功してプレーニングに入れれば最初の壁を乗り越えたと言えるでしょう。板が不必要にラフすることなく真っ直ぐに走り続ければ大成功です。

次にその先の話。上記の方法でラフすることなく(もしくは最小限のラフで)プレーニングに入れたとして、しかし中風以上の風速では、もしかしたら前に飛ばされてしまうかもしれません。前に飛ばされるということはラフしていない証拠でもあるので、まずは第一関門を乗り越えた証拠でもあるのですが、あまり頻繁に前に飛ばされ続けるとクジけてしまうでしょう。そんな悲しい場面を繰り返さないためには(その領域まで進んだら)次には後ろ足をもう少しだけ後ろにポジションさせるように意識。こうしてラフせずに少しずつ後ろ足を後ろに、そして最終的に後ろ足を後ろ足ストラップに導く。後ろ足が後ろになりスタンスが広くなるほど踏ん張りやすいというのは当然のことだし、後ろ足がストラップに入ればもっと踏ん張りやすいから前に飛ばされにくなりますが、反面では後ろにするほどラフしやすいというジレンマがここでも生じるので、慌てずにゆっくりと時間をかけて徐々に後ろ足を後ろにポジションできるように練習しましょう。