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Q:T.Kさんからの質問 レース関係の質問です。よく「シモ受け」とか「カミ受け」とかを聞くのですが、イマイチよくわかりません。これからレースをやりたいと考えているので、そうした戦術について教えてください。 |
A:戦術(タクティクス)はケースバイケース、さまざまなパターンがあるので、それぞれを練習や実戦の中から経験値として積み上げる必要があります。もちろんそれらすべてのパターンを一度に解説するのは無理なので、ここでは「クローズにおける相手との位置関係」という視点から、その基本について解説しておきましょう。ここから先、わかりやすいようにクローズの角度は風上に対して45度(45度で上れる)と仮定します。 |
こうした位置関係に2艇がいるとき、AはBを見るために振り返らなければなりません。そのため風上にいるように感じます。逆にBはAをセイル越しに見える風下にいるように感じます。そのためAを(Bに対する)風下艇、Bを(Aに対する)風上艇と表現します。 |
イラスト3を見てください。これはスタボーで直進するBに対してポートで走っていたAがタックをして風下艇となった状態。このときAはBの「下受けをした」となります。逆にBは特別な行動はしていませんが、Aに対して「上受けをした」状態になったと言えます。 |
そこでイラスト4。これは風が左に45度シフトしたと仮定したイラストです。それまで並んでいたはずの2艇は、風向が変化した瞬間にAがBの真正面に位置することになります。ようするにAが風向変化によってイッキに有利を得たということ。 ここではお互いがスタボーで走っていて風が左(進行方向)に変化したことで有利不利が発生していますが、イラストを裏返して見たときの、すなわちお互いがポートで走っていて風が右に変化したときも同じ状況が起こります。まとめるなら「風が次に進行方向に変化すると思うなら、下受けして風下艇となっている方が得だ」ということです。 |
このようにレースでは、次に風がどのように、どの向きに変化するのかを考え、有利になれるように相手に対して下受けしたり上受けをしたりして位置関係を組み立てます。それが風を味方につけるためのタクティクス。練習では多くの場合、スピードだけを判断基準に速いとか遅いと判断してしまいますが、レースにおいてはこうして風を味方につけることによって艇速の未熟さをカバーすることも可能。そこにレースの楽しさが充満しているのです。 |
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