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オーバーテイキングとは、レースにおいて相手を抜くとき、もしくは抜かれるときのルール。このルールを無視すると競技中は大変なことになるし、普段のセイリング中も大きなトラブルの原因になるので、ぜひ覚えておきましょう。 |
オーバーテイキングのルールでは、風上側から抜くとき(抜かれるとき)と風下側から抜くとき(抜かれるとき)でルールに違いがあります。多くの人が、これがよくわからないばかりに、実戦で遠慮がちな走りを強制されてしまうのです。 |
風上側からオーバーテイキング(相手を抜く)する場合、優先権を持つのは下のイラストの黄色文字で示された艇です。(オレンジのボードがオーバーテイキング中/イラストの上側が風上) A1-B1/Aはクリア・アスターン、Bはクリア・アヘッドなのでBに優先権があります。なのでオーバーテイクしようとするAは前を走るBに追突してはいけません。またBは、抜かれないようにAをブロックすることが許されます。 A2-B2/Aが追いついてオーバーラップしました。この状態でもまだBに優先権があります。なのでAはBを避けるように抜かなければなりません。対してBはラフするなどしてAをブロックできます。 A3-B3/AがほぼBを抜きかけています。でもオーバーラップしている限り、優先権はBにあります。なのでやはりAはBを避けるように抜かなければなりません。 A4-B4/風上からオーバーテイキングするときは、このように完全に抜き去ってクリア・アヘッド、クリア・アスターンの状態になって初めて優先権が移行します。 (注)あなたがB艇だった場合、ブロックする権利があるからと言って、何でもして良いわけではありません。ブロックするときは、避けられるだけの時間的、スペース的な余裕を相手に与えなければいけないとルールに明記されています。よく、自分がスタボーだからと無理に突っ込む人がいますが、相手に余裕を持たせないそうした行為は明確なルール違反で失格となります。 |
風下側からオーバーテイキング(相手を抜く)する場合、優先権を持つのは下のイラストの黄色文字で示された艇です。(オレンジのボードがオーバーテイキング中/イラストの上側が風上) A1-B1/Aはクリア・アスターン、Bはクリア・アヘッドなのでBに優先権があります。なのでオーバーテイクしようとするAは前を走るBに追突してはいけません。またBは、抜かれないようにAをブロックすることが許されます。 A2-B2/Aが追いついてオーバーラップしました。この状態でもまだBに優先権があります。なのでAはBを避けるように抜かなければなりません。 A3-B3/風下からオーバーテイクするときは、こうしてノーズが相手のノーズよりも前に出たら優先権が移行します。風上からオーバーテイクするときと比較すると優先権の移行条件に違いがあるのがわかるでしょう。 A4-B4/AがBを完全に抜き去ってクリア・アヘッド、クリア・アスターンの状態になりました。もちろん優先権はAにあります。 |
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2艇がオーバーラップしていない場合、前を走る艇(B)をクリア・アヘッド、後ろを走る艇(A)をクリア・アスターンと言います。クリア・アスターンの艇はクリア・アヘッドの艇を避けなければなりません。ようするに「オカマを掘ってはいけない」ということです。 |
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2艇がクリア・アヘッド、クリア・アスターンでない状態のこと、すなわち横に並んだ状態のことを「オーバーラップしている状態」と言います。オーバーラップしている場合、無謀な行動は接触などトラブルの原因になるので、オーバーテイキングなどのルールでどちらかの艇に優先権が与えられます。 |
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