逗子市長杯2024

6月16日(日)30回目を迎えた逗子市長杯。昨年からスラロームクラスはチャレンジ、ノービス、オープンの3クラスで実施されてます。

チャレンジクラスはスクールの三角セイルを使う人も参加可能な、まさしく「試しにトライしてみましょうよ」のクラス。ノービスは他の大会ならビギナークラスに相当しますが「あなたの技量ならビギナーじゃ無いでしょ」の人の悠々のメダル獲得を許さないために参加資格が厳密にレースビギナーに限定されたクラス。そしてそれ以上のレベルの方々が集うのが最上級のオープンクラスです。

当日は、朝からの薄曇り空。風はまったくの無風。それが昼を待つ間も無くピーカンになり、そして青空とともに南風も入っての、最終的にはプレーニングコンデイション。チャレンジクラスはスタートからフィニッシュまでの1本道。ノービスクラスはスタートしてジャイブ1回で戻ってくるコースで、オープンクラスはジャイブ2回のフルダウンウインドコースでの実施です。以下、オープンクラスに焦点を当てての解説。

オープンクラスのスタートは湾口、そこから距離にして約600メートルのファーストレグ、そしてファーストジャイブマーク回航後に約300メートルでセカンドマーク、それを回航して同じく約300メートル下らせてフィニッシュのコース。スタートは下有利で、でもファーストレグの半分を走ったところあたりで風が前にシフトするので、その場面では風上側が有利。すなわち理想論を言うなら、スタートはアウター側から出て先行し、ブローで加速してコース中ほどまでで他艇の前を横切って風上側に駒を運び、そこからファーストブイまではライバルを風上から「かぶせる」。それが理想的なのはわかっていても、実際には想定通りに行かないのが常です。実際に風下側からベストなスタートを切っても、タイミング悪くブローが途切れて失速、風上に駒を進められるに苦戦、なんて光景が多々見られました。

優勝した岡村選手もまさしくその落とし穴にハマり、ファーストブイ回航時点では優勝には程遠い順位。さらにはサンデーセイリングを楽しむウイングフォイルに邪魔されて沈するなど、それは散々な状況に見えたのですが、大会本部から間近に見ていたマリンブルーの元ジャパンサーキットシングルランカーの岡田氏曰く、「最終マーク回航後どころかフィニッシュ直前でも諦めずに」パンピングして加速を持続、抜ける可能性ゼロに思われる先行艇をフィニッシュ直前でパス。同じく岡田氏の回想の言葉を借りるならば「最後まで諦めない力で」若手や熟練選手を押しやってのクラス優勝だった。そんな最上級クラス優勝の岡村氏を賞賛して、今年の逗子市長杯も無事に終了しました。