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ファーストステップpart3 |
波に乗ったらセイルを開く。ただそれだけの行為でサーフィングが実現できたら、せっかくだからもう少し先取りしてみる。これまでのように「セイリング」で波のフェイスを上下するのではなく、「サーフィング」で波の上でノーズの向きを変えてみよう。そのときに意識を集中するのは「レイルでターンできているかどうか」。 すでに解説したように、セイリングでフェイスを上下に動こうとすると、それはただのラフとベアになる(ジャイブも同様にセイルに頼ったセイリング状態ではレイルを使ったターンはできない)。ラフとベアは板が横滑りしながらノーズの向きが変わるという動きだから、フェイス上でのその行為は「レイルが噛んで(スノボーやスキーで言えば逆エッジがかかって)ひっくり返る」という不作為にも共通する。身に覚えがある人、多いんじゃありませんか。 対してサーフィングではラフとベアは出来ない。くどいようだがラフとベアはセイルに頼って初めて出来る行為なのだから、セイルに頼らないサーフィング状態にひとたび入ってしまえば、たとえやろうにも出来ないのだ。だからサーフィング状態で板を動かすしかない。それは必然、レイルを使ったターンになる。 だからと波に乗ったら最初から最後までセイルから風を抜き続けるということもない。もしセイルから風を抜き続けたらそれはただのサーフィン。ウインドサーフィンでは適材適所、風を抜いたり入れ直したりして、そうすることでサーフィンやSUPでは成し得ないアクションが可能になるのだから、それを忘れずに、あらためてサーフィングでのバックサイドの波乗りにトライしてみよう。 まず波に乗ったらセイルから少し風を抜いてサーフィングを実感する。「よし、波の乗れているぞ」という確認作業だ。しかしそのあとは、必要に応じて風を捕らたり、風を逃がしたり。 写真の場所は逗子、風はクロスオンショア。95リッターのラージサイズの板で、ごく小さな波でバックサイドしている。それを見ながらイメージを確認してみよう。一度セイルから風を抜いてサーフィング。そこは写真に写っていない。写真は、そこから再びセイルに風を捕らえてボトムターンしている場面から始まる。 上の写真、レイルの傾きやそこから跳ね上がる波しぶきから、板がターンしているのがわかるだろうか。一度セイルから風を抜いてサーフィング状態に入り、そのままフェイスを駆け下りて、再びセイルに風を捕らえ直しながら「俗に言う」バックサイドのボトムターン。セイルから風を「抜き」「入れ」するというメリハリが無いと、写真のようにレイルが噛んだターンではなく、ただ横滑りしながらノーズの向きが変わるだけのラフになってしまう。その違いが、出来る人と出来ない人の境界線。 次の場面は小さなウネリの頂点部分。その上の写真の大きく風上へと体軸が倒れた状態と比べると、体軸が板の上に戻りつつあるのがわかるだろうか。すなわち、もう一回サーフィング状態に戻ろうとしている(セイルの影響力=風の影響力から離脱しようとしてる)。風の力を利用して、もう一度、体軸を板に載せようとしている=サーフィン状態に入り直そうとしている場面で、ジャイブでのベアセクションの動きにそのまま共通もする。 最後の写真では、風下側レイルがわずかにフェイスに噛みながら、再び波を滑り降りる向きにターン。最初の写真と比べるとずいぶんと体軸が板に乗っているのがわかるだろう。最初の写真をセイリングとするなら、ここではサーフィングにスイッチしかけているということになる。 この3枚の写真で注目すべきは、体軸=どのくらい体がセイルに寄りかかっているか否か。一番下の写真だけを見るなら「板に乗ってる」感じは少ないが、一番上の写真と比べると、体軸の立ち上がり加減に大きな違いがあることがわかるはずだ。 この3枚の写真は、波とも言えないほどの膝下サイズの小さなウネリに乗ってのアクションで、またその波には「巻かれる」ほどの勢いも無い。だからこの程度のアクションで足りているが、波が大きくなるほどセイリングとサーフィングをもっと大胆且つ大きなアクションで切り替えることが必要になる。そこはまた次なる練習課題として、その前章としてまずは、サーフィングを実感してみることから始めよう。自分が「セイルに乗っている」のか「板に乗っているのか」、その違いを体感的に認識すること。それが理解できたなら、あなたのウェイブライディングの未来はとても明るい。 the end |