ULTRA-KODEとKODE

QK.Hさんからの質問

2008年のスターボード、ピュアアシッドの74リッターと86リッターの走りの良さが気に入って長年使い続けています。しかしなにせ古い板のため、荒れた海面での使用中に折れたりしないかと不安。そこで、古い板の耐用限界の見極め方があれば教えてください。ちなみに使用後はエアバルブを緩めて室内で保管しています。また買い替えを検討する場合、現在のモデルであるKODEの方が、ピュアウェイブであるULTRA-KODEよりも、走り度合いなどピュアアシッドに近い乗り味なのでしょうか。

 

A上記質問回答の2回目。ピュアアシッドから乗り換える(買い換える)としたら、スターボードの(今の)板の中でどれにすべきか、という質問への回答。それについて私は詳しくありません。そこで疑う余地なく国内で最もスターボードに詳しい小林ゆーまプロに聞いてみました。

「ピュアアシッドに近い乗り味なのはウルトラコードです。そう言い切れる理由はシンプルで、ウルトラコードがピュアアシッド直系の後継モデルだから。ピュアアシッドの血筋を強く受け継ぐウルトラコードに対して、コードは少しマイルドにウェイブを楽しめるようにと、小波であったり荒れた海面での直進性=プレーニング性能をプラスアルファ要素として作られています。そうした理由において、ピュアアシッドに当たり前に乗り慣れているのであれば、また、もっと直進性や走りやすさが欲しいとの特別な希望がないのであれば、選ぶべきはウルトラコードだということです。」

「ボリュームで表記した場合、ウルトラコードは72、78、82、86、93、100。コードは85、95、105。両者を比較すれば一目瞭然ですが、質問者がウルトラコードかコードかで悩むとしたら、それは80リッターオーバーの大きめの板に限られます。現在、質問者は74と86を使っているとのことなのでほぼ同ボリュームの板を探すとするなら、悩みは86リッターに限定されると思われます。そしてその答えは前記したようにウルトラコードになるだろうということです。」

「しかし、もしウルトラコードを選んで『もっと直進性が欲しかった』と感じたとしたら、センターフィンをワンサイズ大きなものに変更するという裏技もあります。多分それは必要ないことだろうとは思いますが、ワンサイズ大きなフィン=約2〜2,5センチ大きなフィンを使うことで、圧倒的に直進性とプレーニング性、さらにはそれに付随する波越え性能を高めることもできます。それはさらなる安心の確保にも繋がるでしょう。

「その上で選択肢を絞り込んでみましょう。まずは小さなサイズ。現在乗っているのが74リッターだと今のウルトラコードの72リッターに目が向くかもしれません。でもピュアアシッド74のスペックは全長239cm、最大幅54,5cm。ウルトラコードの(最新モデル)スペックは、72リッターで全長216cm、最大幅54cm、78リッターで222cm、55,5cm。質問者が使うピュアアシッドと比べると随分と全長が短いはずです。これは俗に言われるところの『ショート&ワイド』のスペックへの変更の結果。そしてそのショート&ワイドは、使い心地としてそれ以前の板と比べると、ボリュームが大きいのに一回り小さな板のように動ける、それでいてボリュームが大きな分だけ風が落ちても扱いがラク。要するに質問者が持つ板と今の板には、ワンサイズもしくはツーサイズ大きな(板の)板を選んで、手持ちの板と同レベルのパフォーマンスが楽しめる、という公式。特に最新の72リッターは、ショート&ワイドながらも(スペックを見てもわかるように)『とても細く小さく感じる』ので、それは普通に考えるなら大波の3.0コンディションで爆発的なパフォーマンスをする専用と考えるのが正しく、その選択には注意が必要。」

「そうした現状を踏まえた結論として、手持ちの74の後継とするなら今の78、もしくは82。また大きなサイズの手持ち86(244cm、59cm)の後継は、同様の理由のより、93(218cm、60cm)で決まりでしょう。ただし、もし風が弱いときに今以上に、例えばオンショアコンディションで波越えを楽にしたいというような希望があるならば、大きなサイズはコードの95という選択もアリです。」

話を小林氏から戻します。私自身、手持ちの板は79と95で、10年も前は双方同等の出動回数でしたが、温暖化も叫ばれる近年は以前よりも風の「抜け」が悪く、すなわち安定した風速で吹かずにガスティーであることが多くなったことで、最近は圧倒的に95リッターの出動回数が増えています。それを支えてくれているのが、大きいのに波に乗ると小さな板のような機動力があるから楽しく波乗り出来て、それでいて風が弱いときは大きなボリュームで安心の走りを供給してくれるから。以前なら4,0m2に95リッターなんてありえない組み合わせだったのに、今やそれも当たり前になったのが、特に湘南地区での風状況に即した板選択。湘南で乗ることもあるとの質問者にとってもそれは多分共通するはずなので、小林氏が語ったように、以前よりも大きめの板を選ぶというのは正しい選択だと思います。大きな板だとアクティブに動けないという昔の概念に囚われることなく、現状を鑑みた板サイズを選ぶことで、アンダーからオーバーまで今以上にウェイブの楽しみが広がることでしょう。