A:10年を遠く遡る昔、板もセイルも毎年のように目を見張るような変化がありました。それまで見たことも無いような斬新な形をした板がこつ然と登場し、それが過去類を見ない軽快な乗り心地と性能をすべての人に提供することが判明し、ゆえに他メーカーからもすぐに同様の板が発表されるという加速度的な進化の系図。対して現在は、性能進化は到達点に達し、板もセイルもウインドグッズのすべてが熟成期に入っています。だからこそ「どれを選んでも間違い無く」、だからこそ「道具選びで悩みやすく」もなりました。
そうした中では、最良のモノをピックアップするのではなく、消去法で最良のモノを「絞り込む」という手法が適切と思います。最良の、ただひとつのモノを選び出そうにもそれは難しく、それよりも、最良では無さそうなモノを削除して、残ったモノの中から選ぶ=選択肢を絞り込むことで選びやすくする、という考え方です。
例えば異なるメーカーからラインナップされた、同じ90リッターの板が4本、選択肢としてあると仮定しましょう。うち3つは横幅が60〜61センチで、しかし1本だけは62センチあったとします。その場合、仲間はずれの横幅62センチの1本は選択から削除してしまうという手法。横幅が他と異なる利点があるだろうことは重々理解できますが、3/4の割合で同じ横幅の板が並ぶには、さらなる理由があるだろうと推測できるから。すなわちそれが「定番」と言えそうだからです。特別な趣向があるなら道具選びに悩むはずは無く、道具選びに悩むということはそうした特別な趣向が無いからこそであるはずで、ゆえに「定番」を選んでおけば間違い無いだろうとの確信もあります。消去法とは、こうした考え方です。
それを念頭に、現在唯一の専門誌であるウインドサーフィングマガジンの最新カタログ号から拾ってみましょう。そこに掲載されていないものについては残念ながら情報不足でまったくわかりません。
カタログを紐解くと、選択対象は、ファナティックのFREEWAVE96もしくは86、JPフリースタイルウェイブの93、パトリックF-CROSSの93、スターボードFUTURAの90、タブーの3-STYLEの86もしくは96に絞り込まれそうです。その中から90リッターくらいで限定するなら、FREEWAVE86、JPフリースタイルウェイブ93もしくは85、F-CROSS93、フツラ90、3-Sの86になるでしょう。
さらにそれぞれのスペックを見ると、FREEWAVE86(233/58.5)、JPフリースタイルウェイブ93(234/60.5)、F-CROSS93(235/60.5)、フツラ90(233/62)、3-Sの86(220.5/59.5)。それぞれボリュームに違いがあるので横並びに判断しにくいところですが、横幅を見ると、同じ86リッターながら1センチも幅狭いFREEWAVE86は、他ボードの横幅と比較してもちょっと細めかもとの懸念が頭をもたげます。またダントツに横幅の広いフツラ90も少し仲間はずれな感じ。というワケで思い切ってその両者を消去したなら、JPフリースタイルウェイブ93、F-CROSS93、3-Sの86に絞り込むことができます。
このようにある程度まで選択した上で、そこから先は、可能ならば、ですが、試乗会などに参加して実際に試してみること。ターゲットとなるボリュームの板が試乗会に登場するとは限らないし、試乗会当日に最高の風が吹くとも限らないですが、それでも狙う板のボリューム違いであっても、またたとえ走らない弱風であっても、とりあえず試してみたなら多少なりとも推測が成り立つはず。そうした推測と、さらにはネット等を介した他情報を積み重ねることで、さらに自分が最終選択すべき板の絞り込みをして最終決定するのが結論への近道と思えます。
|