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Q:S.Wさんからの質問 現在、リバティーの430/80とノースの460/100のマスト(長さ/カーボン含有率)を使用していますが、460のマストの買替えを検討しています。セイルサイズは6.3と7.5。そこに追加として8.0以上のサイズも検討中で、460と追加セイルに対応の490の購入が良いのか、リバティー460とミドルエクステンダーの購入が良いか、また他に方法があるのか悩んでいます。 |
A:現在のマストは、昔のようにセイルとマストが同メーカーでないと互換しないというようなことはありません。セイルとマストのメーカーが異なっても、おおよそ互換します。しかしいつくかの懸念はあります。 RDM(細い径のマスト)は互換性能が高いですが、SDM(太い径のマスト)はメーカーによって少し細かったり、太かったりという違いがあります。その太さの違いが互換性能を低下させる場合があります。また現在のマストは相当に高額と言えますが、その中にあってあまりに低額なマストはやはり「性能それなり」の可能性が否定できません。その理由についてはバックナンバー「マストのカーボン含有率」の「カーボン含有率が同じなのになぜ大きな価格差があるのか」の項目をご参照ください。 そうした基礎情報を元に、今一度、質問者の現状を考えてみましょう。現在手持ちのセイルは6.3と7.5。メーカーもどのようなセイルかも質問からは判断できませんが、たぶん6.3にはリバティーの430を使用し、7.5にはノースの460を使っているのでしょう。その7.5はカーボン100%で互換しているようなので、たぶんレース系のセイル(ノーカム、カム含め)なのだと想像できます。それで問題無く使えているのならば買替えの検討は必要無いはず。しかし460の買替えを考えているということは、460が相当に痛んでいるか、もしくは性能的にセイルに互換していないか、ということなのでしょう。だとするなら、買い替えるべきベストなマストは、そのセイルが推奨する同一メーカーのマスト。そこに迷いはありません。 しかしもう一枚のラージサイズを購入するとして、それにも新たなマストが必要になるところに迷いがあるのでしょう。新たに購入を検討しているラージサイズのセイルが「ベストは490だけど460でも張れるよ」というなら熟慮した上で新たに購入する予定の460で互換できるでしょうが、「490じゃないと張れないよ」というなら、やはりそこは490も追加購入というのが一般的な方向性だと思われます。資金的負担は増えてしまいますが、やはり「より相性の良いもの=セイルとマストの組み合わせ」を狙った方が、道具に頼る部分が大きいウインドというスポーツの気持ち良さが倍増するだろうことは否定できないところ。相性イマイチの組み合わせで日々チューニングに悩み続け、気持ち良く乗れるはずの場面で自分だけがオーバーになったり、ちょっと風が弱いだけで周りが走っている中、自分だけが走り出せないようでは、せっかくの良い風も楽しくなくなってしまうでしょうから。 ここまでを基本とするなら、もうひとつ質問者の悩みはリバティーのマストにあるでしょう。 残念ながらリバティーのマストに関しては情報が無く、ミドルエクステンダーにどのようなメリット、デメリットがあるかの検証報告もありません。ちなみに現在使用中のセイルも、また追加購入予定のセイルもリバティーなのでしょうか。だとしたら、メーカーが推奨する方法に準ずるマスト(それがミドルエクステンダーならばそれ)を購入するのが一番の良策であることに疑いは無いのですが。 もし使用セイルがリバティーでないとしたら。その場合について考えてみます。例えば460のマスト。460の長さの「1本もの」として作られたマストを途中で切って繋ぎ合わせることができるようにしてあるのが今のマスト(2ピースマスト)です。430ならその1本を途中で切って繋ぎ合わせるように、490ならその1本を途中で切って繋ぎ合わせるように、です。しかしもし途中に別のものが入ってしまったとしたら。例えば460として作られた1本のマストを途中で切って繋ぎ合わせるように出来ているものの真ん中に、まったく別の30センチのパーツを入れ込んだとしたら。それは長さこそ490であっても、正しい490のマストとは程遠いものになってしまいます。正しい490のマストであるためには(それを2ピースではなく3ピースに分割するなら)、490の1本のマストを3つに切って初めてそれが成り立ちます。しかし490のマストを3つに切ったものの中間を抜かして上下を接続したとしても、それがたとえ460の長さになったとしても正しい460のマストでは無くなってしまいます。そうした原則を考えてみた場合、それでもなおそのマスト(ミドルエクステンダーを使ったマスト)に互換できるように作られたリバティーセイルならベストとしても、他のセイルの場合は、どうしても懸念してしまうということです。 まとめましょう。もし現在の手持ち460マストに問題があるなら、手持ち7.5セイルが推奨するマストの購入を一番に考える。それで現在手持ちのセイルの楽しさが確実に確保できるから。まずそこで一段落。次に新たに8.0を超えるラージセイルの購入を考えているなら、それは現在手持ちのものとは別にマストも合わせて検討する。新規購入460が互換するセイルを探すのがとても良いアイデアになるはずで、しかしどうしても490でないとダメなら、新規購入の8.0台セイルとマストをパッケージとして考える。ウインドを満喫する上で道具の費用軽減という要素は避けて通れない重要要素ではありますが、そこに目を奪われすぎると「安物買いの銭失い」になりかけないので注意です。 |