セイル選択とマスト選択

QE.Kさんからの質問

現在、ニールV8(5.5/6.5/7.0)にニールマストのフリーライドPRO430を使用しています。またCK75の460も保有しています。そろそろセイルの買替えと思い、ノーカム又は2カムあたりのセイル購入を考えています。ターゲットのサイズは6.0、7.0、それと7.5。ガストラのマトリックス、セバーンのターボかNCX、シマーのVMAX、ニールの相当品が候補ですが、手持ちのマストでは古すぎて互換性が無さそうに思えるので、マストの購入も同時に検討中。そこで質問。今のマストは互換性が高いと聞いていますが、できれば手持ちのV8にも合って、さらに候補セイルにも互換するマストとしてどのメーカーのどのマストがお勧めとなるでしょうか。また、ジョイントエクステンションにシュレッダーのSDM46センチを使っていますが、現状のマストには互換できるかどうか。やはり今でもニールにはニールのマストがベストなのか、もしセバーンを購入したときそれでは互換しにくいのか教えてください。なぜなら候補セイルの中で一番セバーンに興味があるからです。

A非常に難しい質問です。なぜかと言えば、通常はセイルありきでそれに合うマストを、またはマストありきでそれに合うセイルを探すところですが、今回の質問ではまだセイルが決まらない中で、どのセイルを選んでも合うマストは?との質問だからです。それはあまりにも漠然として靄に包まれて感じます。

とは言え、ひとつずつ検証してみましょう。まず、新規購入のセイルについて。もしノーカムを選ぶなら間違い無くRDMがお勧めです。今のノーカムは走り系であってもRDM完全対応で、またRDMの方がタックやジャイブにおいて操作しやすく軽さも感じられるから。しかしそれは残念ながら現状手持ちのV8には互換しません。手持ちV8でも使いたいとなるとSDMで確定。手持ちジョイントがSDM用であることもそれをさらに確定します。ちなみに今のSDMも質問者手持ちのジョイントに互換しているのでそこは安心してください。

選択できるのがSDM限定とすると、最新ターボは問題がありそうです。なぜなら6.5以下はRDMの使用が想定されているから。SDMで7.5と7.0は大丈夫でも6.0は問題でしょう。

ニールのV8かヘルキャットなら大丈夫そうです。手持ちのセイルにも使えて、且つ新規購入セイルにも、と考えるなら、やはりメーカー統一で考えるのが鉄板な考え方になると思います。

もしセバーンに興味があるなら、手持ちセイルは廃棄覚悟で新しいセイルに集中すべきです。質問者が本当に3サイズのセイルを購入するとしたなら、それは手持ちセイルサイズとダブることになるのだから、たぶん古いセイルは使わなくなることでしょう。にもかかわらず古いセイルに固執すると、未来に向かえるはずのせっかくの選択枠を狭めてしまいかねません。そこは割り切って考えるべきと思います。

質問者の手持ちボードが不明なのでそこも明確な回答ができないところではありますが、本格派スラロームで最速を望んでいるのでないとしたら、セイルとしてお勧めなのは質問者が一番興味のあるところのセバーンの中のNCX。軽く、操作しやすく、それでいて相応のスピード性能も兼ね備えるので週末の楽しみを拡大してくれそうに思うから。とするなら、マストは純正のRDM430と460。430を1本だけでも想定の3サイズの使用は可能でしょうが、430だと6.0で15センチエクステンション、7.0で35センチ、7.5だと54センチとなってしまうので、マスト長さ的には2本が必要になります。特に54センチエクステンションは現実的ではないので、そこはやはりマスト2本、且つそのためのRDM用エクステンションが必要になってしまいます。その場合は、6.0は430に15センチエクステンション、7.0は460に5センチ、7.5は460に24センチエクステンションとなるので、最大で24センチ伸ばせるRDMエクステンションがあれば良いということになります。

ちなみにその場合はRDM用のジョイントエクステンションも購入(最大24センチ伸ばせれば良いタイプ)になりますが、素材推奨はアルミ。高額なカーボンエクステンションはRDMの場合、折れやすいという大きなデメリットがあるので選ぶべきではありません。ちなみに私も7.8でRDM、ジョイント32センチエクステンションで日常乗っていますが、過去うんざりするほどカーボン製RDMエクステンションが折れた経験があるのでアルミを常用しています。カーボンは「折れる」けど、アルミは最悪でも「曲がる」だけなので、命に関わるリスクを大きく回避できるからです(沖で「折れたら」成す術無しだけど「曲がる」だけならヘッチャラだから)。

もし質問者がスラロームに乗っていて、相応以上のスピードを望んでいるとするなら、また一番興味のあるセバーンの中で考えるならターボになるでしょう。17年版ターボはこれまでよりも上部のスリーブが細くなり軽さと操作性に期待大。実際に使用経験が無いので確信的に言い切ることはできませんが、見る限りは期待して間違い無さそうです。

さらに思考を巡らせてみましょう。手持ちの6.0、6.5、7.0に対して、新規に6.0、7.0、7.5を考えていると言うことは、下は6.0あたりの風に対処できれば良く、しかし上はもう少しアンダーでも走りたいと望んで見えます。その場合、今のセイルは昔よりも適応風雨域が非常に広いことを考慮すべきです。7.5と7.0はサイズ的に使用風域がダブります。昔は0.5m2刻みでサイズを考えないと風速対処できなかったけど、今のセイルは0.8〜1.0刻みで考えても風速対処できる性能を持つことを忘れてはいけません。と考えると、7.0と7.5はダブる可能性が高く(もちろんゲレンデの状況によっては必要な場合も有り)、一般的な考え方をするなら、古い5.5、6.5、7.0をカバーして、また新規購入想定が6.0、7.0、7.5で5.5よりも最小サイズが0.5アップして考えていることも考え合わせ、且つ7.0ではなく7.5という、もう少し緩い風でも楽しめることを加味しているとするなら、セイルサイズは7.5と6.5の2枚で十分なのでは?と思えます。とするならば、セバーンの場合、NCXなら7.5と6.5、もしくは吹き上がった時の安パイで7.5と6.0、ターボなら7.5と6.5、もしくは6.0となります。いずれにしてもセイル3枚を2枚に圧縮できる可能性も考慮した方が良さそうだということです。

もしNCXでサイズを7.5と6.5に圧縮したとするなら、マストはRDMの430と460。それとエクステンション1本。それは高額な出費ではありますが、もしそれが可能であるなら、今後最低でも数年間は最高のウインドが確約されることでしょう。