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Q:T.Oさんからの質問 スターボードのATOM100Lについて。14年までは搭載セイル最大サイズが7.0だったのですが、15年は板のサイズ(全長/横幅)に違いがないのに最大8.0になっています。ということは、14年モデルでも7.0以上を搭載可能なのでしょうか。 |
A:短めの全長と広い横幅、そして平べったいフォルムを特徴とするマルチボード(今や多くの板がそのフォルムを持つためマルチボードという呼び名も影を薄めた)。アトムはその定義付けとなった板のひとつ。 マルチボードの特徴は、広い横幅によるバランスと、そこから生み出される面浮力(ボトムがベタリと水面に浮く感じ)によって静止時のバランス性能が抜群で、それでいてプレーニング後は、横幅マックスのボトムエリアを浮かせる(テイルセクションで滑走する)ことで上級指向の走りを楽しめるところ。言い換えるなら、走らないときは一回り大きな板のごとくバランス良く、走り出せば一回り小さな板のごとく軽快に遊べるということ。 そうして一口にマルチボードを語る上でも、大きく分けると2種類があります(とても雑な分け方ですが)。ひとつは、静止バランス性能と直進安定性が抜群で、そのため加速しやすく、しかし加速後は少し性能的に物足りなく感じるタイプ。もうひとつが、静止バランス性能は抜群だけど板の方向性が少し難しく(加速時にラフしやすく感じる等)、しかし加速後はスピード含めて上級モデル並の高性能さを発揮してくれるタイプ。前者はどちらかと言えば初・中級者に最適で、後者はそこそこ乗れる中・上級者に最適と言えます。前者は上級になると性能的に物足りなくなるし、後者は乗りこなすのに少しの「コツ」が必要で(真っすぐ走らせるというコツ)、初級者には少し難しく感じるからです。 あえてアトムを分類するなら後者。i-SONICを筆頭とするマニアックな性能が評価され続けるスターボードならではの性能の持ち主がアトムだと言えるでしょう。だからこそ「乗れる」マニア受けしているとも言えます。 質問者はカタログ表記上の搭載可能セイルサイズが気になるようですが、それに関しては過去歴の「ボードとセイルの搭載バランス」で説明しているので参照してください。その概要をまとめるなら、カタログ上の搭載可能セイルサイズには、「適合」「頑張れば大丈夫」「条件が揃えばどうにか大丈夫」のそれぞれがあり、記載数値はその最大振り幅を持って記されているということ。なので実際に110リッターに8.0を使うとしたなら、「上級者が」「ドラフトが安定する性能のセイルで」「恵まれたコンディションで」など条件が揃って初めてストレス無く使えると考えるべきでしょう。過去歴でも示したように、一般的に考えるならば、適応セイルサイズが5.0〜8.0の場合、適合するのは6.0〜7.0。5.0〜6.0はちょっと小さすぎで、7.0〜8.0は要技量必要な大きすぎと判断するのが賢いと思われます。 100リッターというボリュームを一般的に考えるならば、7.0でさえ少し大きいと思えます。マルチボードだからそれが可能と言えばその通りですが、それでもなお限界は7.0に近いでしょう。実際のところ、16年式の114リッターをテストした限りでは、7.5が搭載できたことに好意的な驚きを覚えました。裏返すとそれは「114なのに7.5が載せれるんだ!?」という驚き。対して質問者の対象とする板は100リッター。そう考えるとさらに小さなセイルの方がベストマッチするだろうと容易に想像できます。これまた一般的な考えですが、7.0以上なら110リッター以上、8.0ともなれば120リッター以上をターゲットに据えるのが無難と思われます。 まとめて質問の回答をするなら、14年モデルと15年モデルの「同じスペックなのに搭載MAXセイルサイズが異なる」のは、14年モデルに「載せてみたらどうにかなるじゃん」で15年には少し記載数値が幅広くなり、しかし実際には、記載数値の上下1/3を切り捨てた6.0〜7.0が最適でしょ、というところに落ち着くのではないでしょうか。 もちろんこれは乗り手のレベルや使用セイルの種類(さらに厳密にはメーカーごとの使い心地の違いも)、使用ゲレンデのコンディション(ガスティーかどうか)など、さまざまな要因で大きく違ってきますが、おおむねまとめるのであれば、110リッターに7.0以上が搭載可能かどうかどころか、7.0あたりが限界と考えておいた方が正しい選択ができそうに思えます。 |
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