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Q:T.Nさんからの質問 現在、ハーネスの主流はウェストハーネスだと思います。しかしPWAを見るとパンツハーネスを使っている人もいるようです。スラロームに乗る私自身は現在、パンツハーネスを使っていますが、今後選択するにあたり、ウェストとパンツ双方の利点を知りたいです。ウェストはズリ上がるイメージがあり、またウェストはウェイブ、パンツはレースという昔の考え方も頭にこびりついているので選択に迷っています。 |
A:ウェストとパンツの両ハーネスの違いを挙げるとするなら、それはハーネスラインを介してセイルから伝わるパワーを受け止める「点」の違いと言えるでしょう。ウェストが骨盤の上あたりで力を受け止めるのに対して、パンツは尾てい骨あたりで受け止めます。すなわちウェストの方が力の集約点が上で、パンツの方が下ということ。 パンツの場合、「腰掛ける」ようにセイルを支えます。これは体重をセイルに載せやすい(抑えやすい)という利点があります。しかし体重が完全にセイルに乗ってしまうと、万が一のときに操作不能に陥りやすいというマイナス面があります。例えば急なオーバーブローで飛ばされそうな時は、体重が乗る分だけ「絶えやすい」半面で、限界を超えた途端に成す術無く「根こそぎ持って行かれる」。対して力の支点がそれより上にあるウェストは、パンツほど体重を載せ切れない半面で、万が一の時でも余剰パワーを逃がす「操作」がしやすいということです。 特にオーバーにおいてそれはわかりやすいでしょう。オーバーパワーを体重で強引に抑えたい人(主にパワフルな人や体格の大きな人)はパンツ、オーバーパワーをセイルトリムで乗り切りたい人(主にさほどパワーが無く体格が小さい人)はウェスト、と分類できるかもしれません。ちなみに私は後者で、オーバーパワーを正面から受け止めずに受け流すことで、オーバーセイルに対処できています。 そうは言っても、どちらを選ぶかは結局は「好み」の問題。どちらが正しいとかではなく、選択は単にその一言に尽きます。 昔のウェストはズリ上がりやすかったため、どうしても力の集約点が乗っているうちに初期想定より上にズレてしまいました。しかし今のウェストは、形状記憶フォームの内蔵や、立体的裁断など、昔とは比較できないほどの近未来的とさえ言える進化によって、たとえメタボな体型であってもそうそうズリ上がりません。ズリ上がるとしたらそれは撃沈したときだけで(シャツがめくり上がるような感じ)、昔のようにセイリング中にだんだんズリ上がってくるなんてことは滅多にありません。昔のウェストの「ズリ上がるでしょ」的なイメージは捨てて、フラットな視点で両者を比較検討することが必要だと思います。とにかく、「自分がどのような乗り方を好むか」で選ぶべきです。 質問者は日常パンツを使っているようなので、セイルに腰掛けるように体重を載せる乗り方に慣れているだろうと想像できます。だとしたら、無理してウェストを選ぶ必要はありません。今まで通りに「やりやすい」パンツを選ぶのが得策でしょう。ただし現在、ウェストが主流だという理由でパンツハーネスのバリエーションは少ないかもしれません。入手できるモノも少ないでしょう。そしてその中に、自分にフィットする使いやすいものが見つからない可能性もあります。そうしたパンツハーネス特有の選択肢の狭さという現状において、ぼろぼろになってもなお治しながら「使いやすい我がパンツ」を使い続けている人も数多くいます。 最後に、もしウェストへとチェンジしようとお考えなら、選択肢が非常に広いので、ショップで実際に試着して善し悪し(フィット感)を自分なりに判断してから購入しましょう。他の人が良いと評価しても、それが必ずしも自分に当てはまるとは限らないので。 |
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