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Q:T.Kさんからの質問 200〜250センチくらいまでのブーム買い足しを考えています。購入予定のブームで使用するのは2カムの8.5。小さなサイズに関しては現在、プロラインのカーボンブームを使っていますが、長いサイズが無いので選択に悩んでいます。とは言え、他メーカーのカーボンブームは驚くほどの高額で、だからとアルミでは「たわみ」的な不安もあり、また中古はリスキーなので躊躇します。そこで、現在の市場においてズバリお勧めのブームは何でしょうか。もちろん破損が少ないこと、そして万が一破損しても部品対応できるところなどユーザーに優しいブランドを、細くて握りやすいこと、またフロントワイドなカーブが良いのかなどさまざまな要素も考慮して教えてください。ちなみにプロライン以前はアーロン(さらに前はファイバースパー)を使っていたのですが、アーロンはピンがすぐに破損してしまって苦慮した経験を持ちます。 |
A:質問内にある「アーロンのピン破損」は、たぶんエンドのアジャスタブルシステムのピンのことだと思います。アーロンのエンドシステムは軸を中心にバックルがパイプに被さるように止まるタイプ、対してプロラインはピンがパイプと平行に押し下げされるタイプ。言葉にするとわかりずらいですが、使用経験を持つ質問者ならばそのニュアンスがわかるでしょう。 古くはニールもそうであったように、軸を中心にピンを「はめ込む」タイプのものは、軸付近のプラスチック部分などが破損しやすいというパターンが数多くあったようです。そのためか、現在は後者の平行移動タイプがほとんど。もちろん前者も注意を怠らずにアジャスタ操作すれば何等問題ありませんが、気の緩みでの操作が破損につながることから、現在では後者の方が一般的なようです。過去のトラブルにトラウマがあるようならば、現在使用のプロライン同様のエンドアジャスタブルシステム(後者のタイプ)タイプを選ぶのが得策でしょう。 前者はメーカーの独自色が強く、そのメーカーを介してしかパーツが入手できないことが多いですが、後者はけっこう同じパーツを流用して互換性があったりもするので、万が一の破損にもパーツ入手が前者より容易な場面もあるようです。 ブーム長さとカーブの関係に関しては、200センチを超えるような長いブームに関しては、短いものと少し考え方を入れ替えた方が良いかもしれません。 短いものは、その使用状況が強風であることから、「ブームを握るアクション」が考慮されます。極端に言えばウェイブがそうであるように、ブームを強く握って瞬間的に力を加えるアクションにおいては「ブームの握りやすさ=細くて握りやすい」が重宝される傾向が強いです。対して200センチを超えるブームのセイルサイズでは、アクションよりも安定したプレーニングが中心となるため、「握る」よりも「指先を引っ掛ける」になります。その場合は「握る」よりも少し太い方が「引っかけ」やすく、そのため短いブームよりも少し太いものの方が、逆に腕の疲労を軽減してくれたりもします。そのため長いブームに関しては、必ずしも「細ければ良い」とはならないことを覚えておくと良いでしょう。 ブームのカーブに関しては、人それぞれの考え方があると思います。私的なことを言うなら、短いものはフロントワイドなものを、スラローム用の長いものはそれほどフロントワイドでないものを使っています。理由は、短いブームを使うコンディションでは(例えばウェイブのボトムターン=それは強風のジャイブに共通する)、フロントワイドな方が「マストが立ちやすく」「マストを押し出しやすい」から。対してプレーニングが中心となるラージサイズのセイルを使うコンディションでフロントワイドなブームを使うと、必要以上に「マストが立ちすぎて=マストが体からは慣れすぎて」、それが逆効果となってセイルの引き込みが安定しないから。以前、ナローなカーブのファイバースパーを使っていたという質問者も、同じ感覚に陥る可能性が高いかもしれません。ファイバースパーはフロントワイドどころか相当にブームカーブのピークが後ろにある旧カーブだったので、もしそれで乗り馴れていたとするなら、です。 ここまで記した主なる考慮点、エンドアジャスタのタイプとブームカーブに関しては、できればショップで実物を比べてみるのが最良の方法。さらに実際に「握り比べて」みることができれば、「握りやすい」か「指先を引っかけやすい」かの判断もおおよそできることでしょう。それらができたとするならその時点で、幾つかのメーカーのブームが選択肢から除外されることでしょう。 カーボンブームに限定してお勧めを、と聞かれたとするなら、マウイセイルブームと答えるでしょう。カーブも、過去のトラブルも、あらゆる点において個人的にも「できれば使いたい」ブームだから。しかし、単純な法則として「良いものは高額」。そこばかりは如何ともし難いところです。 他のブームを比較検討する際の目安のひとつとなるだろうブームカーブに関しては、今まで「ファイバースパーを使っていた」というのを考えるならば、マウイセイルブームもしくはノースセイルの長いタイプのカーブを目安にするのが良いかもしれません。そのビジュアルに関しては、実際に確認するか、各ホームページなどで確認してみてください。 質問者は競技を意識しないとのことなので、また使用セイルが2カムということも考えれば、アルミでも妥協可能とも思います。今のアルミは昔のそれと比べると驚くほど「たわみ」が少なくなっています。素材組成などさまざまな要因があるのでしょうが、専門家ではないのでそのあたりはわからず、しかし実際に使ってそう実感します。また、以前は(ファイバースパーもそうであったように)左右別々のパイプがプラスチックのフロントブームジョーで接続されていたのが、今はカーボン同様に左右パイプが1本ものの「モノコック構造」になったのも「たわみ」減少の大きな要因と思われます。 それでもアルミはどうもなぁ、と不安に思うならば「ハイブリッド」という選択肢もあります。ハイブリッドは、本体はアルミでエンドがカーボンのブーム。あまり認知度は高くありませんが、私自身、145センチベースのものはプロリミッツのハイブリッドを使っていて、本体はアルミながらもモノコックなのでそこそこ「たわまず」、エンドがカーボンなので長く伸ばしても「たわまず」、結果の相乗効果としてたわみが少ないので非常に気に入っています。しかも、アルミよりも高額であってもカーボンと比べると相当にお手頃価格。しかし最新カタログ号を見るとハイブリッドの掲載は無く、現在どのメーカーがハイブリッドをラインナップしているかは不明。なのでもしハイブリッドに興味があるとするなら、各メーカーのホームページを検索してみてください。 質問の対しての「ズバリ、このブーム!」というお答えができないのは、今のブームはどれも良く、比較検討するとしたら、ブームカーブであったり(これは好みによるところが大きい)、パーツの云々であったり(これは個人的使用状況によって破損状況に大きな差がある)など、その程度の範囲なので回答しずらいというのが本音です。 |
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