POINT-7

QS.Oさんからの質問

POINT-7の特徴を教えてください。セカンドセイルのAC-Kが気になっています。

A回答が遅くなって申し訳ありません。残念ながら近場に使用者が居ず、情報収集に時間がかかってしまいました。私自身、最新バージョンと走り比べたこともなく(旧バージョンはありますが)、手持ち情報も少ないため、今期からポイントセブンを駆る合志明倫プロ(J-1)に聞いて以下をまとめてみました。

イタリア生まれのイタリア育ち、黒を基調とするカラーリングが特徴のポイントセブンは、これまでも個人輸入と言う形で国内に流通していましたが、本格的には今期からの展開と言えるブランド。レースシーンにおけるそのポテンシャルは、最近のPWAの動画でも数々目にできるように成績にも裏打ちされています。

最大の特徴は、多くのセイルがローアスペクトレシオの傾向にある中、比較してハイアスペクトレシオ(縦長)であること。ハイアスペクトレシオである利点は、吹いて「ハマれば」トップスピードがグングン伸びるところにありますが、半面で、ガスティーであったり加速時のトルクに弱いなど不利益点も抱えます。しかしポイントセブンはその不利益点を、ドラフトを深くすることで補っています。他よりも深めのドラフトが加速を促進し、セイルが前へ前へと引っ張る感覚は特徴的と言えるでしょう。

「深めのドラフトがセイルを引っ張る」というと、「オーバーが辛い?」と思う人がいるかもしれませんが、合志プロ曰く「その引っぱり力は板を舞い上がらせる方向に働かない」とのこと。すなわち板を加速させはするけど、板を暴れさせはしないからオーバーも大丈夫ということです。

ハイアスペクトレシオなフォルムはリーチの開きにも特徴を与えています。プレーニングを真後ろから見たとき、今のセイルの多くはセイルの一番上が一番開き、そこからブームエンドに向けて徐々に閉じたリーチ形状を示します。対してポイントセブンは、一番上のバテン部リーチが閉じて見えます。すなわち2番3番バテンのリーチが一番開いて見えるということ。これはセッティング時やアンダー時のことですが、他のセイルがアンダーでもトップが開いて見えることと比べると特徴的です。

アンダーでは閉じ気味のこのセイルトップは、強い風を受けるほどに開きます。すなわち十分な風を受けたときは他のセイル同様にセイルトップが最も開いて見えるということ。他のセイルが、セイルトップから開いた形状を保ち、吹くほどにツイストによってより全体的に開く、のに対して、ポイントセブンはアンダーではトップが閉じていて、吹くとトップが開き、吹くほどにツイストによってより全体的に開く、という具合に、リーチアクションがひとつ加わっていると言えば良いでしょうか。このプラスワンのリーチアクションが、ドラフトと相まってハイアスペクトレシオの短所であるローエンドパワーとブローホールの持続力を補うことで、吹いて速いというハイアスペクトレシオの利点と重なり合い、アンダーからオーバーまでの高性能さを実現しているのがポイントセブンです。

セッティングは、指定まで引くと少し引き過ぎのようです。それだとリーチがルーズになりすぎることがあり、日本人の体格には合致しない場合があるので、ダウンは若干緩めを推奨すると合志プロは言っていました。若干緩めの方が、日本人の体格においては、リーチアクションの恩恵を受けやすいということです。

最後に、黒を基調としているため、海で使用する人はできればマメに水洗いするのが良いようです。水洗いせずにいると「潮を噴いて」黒地に白が目立ってしまうので、見た目を気にする人は特に、との注意です。