|
|
Q:K.Eさんからの質問 小学4年生(9歳)の娘にウインドを教えていますが、今後の練習内容と使用道具で悩んでいます。現在ボードはJP FANSTAR180L、セイルはEZZYキッズ2.5を使っています。これからのレベルアップを考えた場合、まずはテイルジャイブ習得か、それともハーネスワーク&プレーニング習得か、どういう方向性が良いでしょうか。また道具はこのままで良いのか、アドバイスをお願いします。 |
A:子供と言えども、スキルアップの道筋は基本的に大人と変わりません。それどころか、大人以上に吸収力が高く、上達スピードは早いと考えるべきでしょう。 まず、道具的な指針として、小学4年生(身長にもよりますが)を想定した場合、現在使用中の2.5というセイルサイズは、大人で言うところの4.2あたりにあたるということを認識しましょう。また180Lというのは大人でも十分すぎる大きさなので、この板とセイルのパッケージは、大人で言うところの初級スクールレベルに当たるということです。すなわち4.0あたりの三角セイルにバランス抜群のデカい板に乗ってる状態。たぶんこのパッケージでは、大人でもプレーニングを練習するのは難しいことでしょう。子供も同じで、このパッケージでプレーニングを練習するには少し難しいと思われます。そもそも大人で言うところの4.2や4.5のセイルであるのだから、プレーニングするにはそれ相応の(ウェイブコンディション的な)風速が必要。これではプレーニングの練習は必然、難しいと理解できるでしょう。 道具的な一般的指針としては、4.5あたりが大人で言うところの6.5あたり、110リッターあたりの板が大人でいうところの135とか140リッターにあたります。すなわち4.5〜5.0と110リッターあたりの板を持って初めて、プレーニングを本格的に練習できるということ。大人で言うならば、プレーニングを楽しむための初めての道具がこれにあたるということです。 なので今の道具でプレーニングを上達するのはなかなか難しいと考えられます。また板の浮力的に(テイルを沈み込ませるだけの体格が無いので)子供の体重でテイルジャイブも無理。 実際に小学4年生のお子さんを持つ方に聞いてみると、まず大切なのは、クローズとタックだという答えが返ってきます。上れることで活動範囲が広がれば、それがお子さんの楽しみを大きく拡大し、ウインドへの興味を深めることにつながることが多いようです。自転車でも、乗れるようになって活動範囲が広がればさらに楽しくなる。そうした感覚に似ているのかもしれません。そして、上るためにはタックが無視できないということです。 これらは、手持ちの板が幸いしています。大人の初級スクールでもそうですが、センターボードが無くて上れないと活動範囲が狭くてつまらなさにつながってしまいます。だから大人でもセンターボードや、それに準ずるシステムを持つ板を使うことが多いことからもわかるように、使用中のJPのセンターボードを使わせることで、よりクローズからつながる広範囲の活動範囲という楽しさを教えやすいと言えると思います。 同時に、手持ち道具でできるのはハーネスワーク。プレーニング云々は別にして、セイルに寄りかかれる風があるなら積極的にハーネスを使わせて、ハーネスワークをしっかり練習させることです。それが今後のプレーニングの上達を大きく左右することでしょう。 センターボードを使い、タックを交えて上り、風がそこそこならハーネスを使ってセイリングする。今の道具でできるのはまず、そこ。風下への走りは、板のバランスに助けられて勝手に下ってきます。途中、ロープジャイブやパワージャイブ(セイルに裏風を入れてブームを押すことで向きを変えるジャイブ)を交えながら、声を掛け合って一緒に下ってあげれば、さらに楽しさは増すことでしょう。 それらが一通りできるようになったら、初めての道具を考慮してあげる時機到来。セイルは4.5〜5.0、板は110リッターあたり。その際に選ぶべき板は、スラロームかフリーレースです。これらの板はウインドの難易度を上げそうに思われるでしょうが、実際にはこれらの板の特徴である直進性とスピード性能、それと板の軽さが子供のプレーニングを大きく促進してくれます。くれぐれも鈍重で走りの鈍い板を選ばないように。子供に与える板はぜったいに「走り系」です。ジャイブが難しいと思われるかもしれませんが、ジャイブは教えずとも(周りを見て子供なりに)勝手に上達すると楽観視しておきましょう。 もしどうしても不安が払拭できず、ボリュームがもっと大きい方が良いとお考えなら、フォーミュラか、学連公式艇のテクノを選ぶのが良いでしょう。いずれにしても「走りが良いこと」が子供のプレーニング上達の助けになることをお忘れなく。 最後に、小学4年あたりの身長は、子供と大人の道具、特にセイルが使えるかどうかの境目にあるので注意してあげなければいけません。小学4年生だと、たぶんクラスで真ん中から後ろの身長ならば大人のセイルが使えるかも。でも前の方だとクリュー(アウトホールの位置)が高すぎて,ブームを限界まで下げて取り付けてもエンドが上がって(高すぎて)上手にセイリングできない可能性があります(そうこうするうちに身長が伸びて大丈夫になったりするでしょうが)。実際のところ、5月に鎌倉で行われた湘南スラロームチャレンジのオープンクラスで優勝した小学4年の杉くん、また石井プロのお子さんには、以前、クリューを下げるべく既存のセイルをリカット(フットをカットしてクリューを低く作り替える作業)した経験があります。それが絶対に必要なわけではありませんが、もし身長が周りのお子さんより少し低いとしたなら、ごく直近の事として考慮してあげるべきポイントになるかもしれません。 |
|