フィン素材

QQJさんからの質問

JPニューモデルに付属するフィンに「プリプレグ」なる素材が使用されていますが、カーボンやG10と比較してどのようなメリット、デメリットがあると考えられますか?素材の特性など教えてください。

A専門家ではないので詳細はわかりませんが、わかる範囲でお答えします。

質問内にあるカーボンとG10は、素材として単純比較できません。カーボンはグラスファイバーなどのように繊維を編み込んだ、いわば「布」のことで、グラスファイバーはガラス繊維、カーボンは炭素繊維。またG10はそうした繊維を硬化させるための樹脂の名前で、他にG11などもあります。すなわちカーボン製と一言で言っても、それを固めるのにG10が使われている場合もあるしそうでない場合もあり、またG10とは言っても、その元素材がグラスだったりカーボンだったりするのです。

これらの素材は組み合わせによって、(我々に直結するところとしては)硬さに違いが出来ます。製造方法などによっても異なるようですが、一般的にはグラスファイバーよりカーボンの方が硬く、通常樹脂よりもG10樹脂の方が硬くできます。しかしフィンの場合は、単純に硬ければ良いというものではありません。水中にあってセイルのごとくツイストするフィンには、ある程度の「しなり」が必要で、それはレーシング系よりもウェイブ系の方が柔らかさ=しなやかさ、を必要とします。そのためレーシング系ではカーボン+G10なども多く見られ、逆にウェイブ系ではあまりカーボン製やG10製は見られません。とは言えフィンは薄いほど「しなる」という特性も持っているので、硬いカーボンやG10を使いながらも薄くシェイプすれば必要とする「しなり」を得ることも可能。こうした目に見えない部分で性能が左右されるところが、フィンの善し悪しの見極めが難しい理由にもなっています。

質問にあるプリプレグは、通常カーボンプリプレグという名称のマスト素材として身近にあります。プリプレグとは繊維に事前に樹脂を浸透させた状態の素材で(普通は繊維と樹脂は別)、湿布薬に例えるとわかりやすいでしょうか。通常は布と湿布薬が別で、作業工程としては布に湿布薬を塗り、それを患部に貼るという手順になりますが、すでに布に湿布薬が適量塗られたプリプレグは、湿布薬の量調整も必要なく、塗りすぎたり不足したりというミスがありません。すなわちその繊維素材を的確に固めるための樹脂量が正しく作業できるので、樹脂量が多すぎて重くなったり、樹脂量が不足して強度不足になったりしないのです。また、プリプレグでは、その強度や硬度を最大限発揮させるための硬化時間や硬化温度などが明確なので、そのあたりもまた素材性能を最大限に発揮できるという利点になるのかもしれません。

まとめると、カーボンは布、G10はそれを固めるための液体、プリプレグは布に液体が染みこんだもの、です。その上でプリプレグにどのようなメリットがあるかは、私の知識では上記したような推測しかできません。繰り返しますがフィンの性能は素材だけでは語れず、形状やフォイル(翼断図)、さらには使用するボードとの相性などさまざまな要素が影響するので、どの素材だから最高、とは解き明かせないのではないかと思います。