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Q:K.Kさんからの質問 オーバーコンディション時の、ノーカムセイルとカムセイルの違いについて。日本では(現在、ミシガン州在住)ずっと2カムセイルを使っていましたが、最近のノーカムに興味があって、こちらに来て8.5と6.5を購入しました。でも、しっくりきません。上ろうとすると急にパワーレスした感じで、特にオーバー時はドラフトも少し不安定な気がするのですが、そうしたものなのでしょうか? |
A:カムはドラフトを強制的に固定するパーツで、特にオーバー時にはその威力が最大限発揮され、安定したドラフトがコントロールを楽に、また風効率が良いためにセイルが軽く感じられ、もちろん加速、トップスピード性能を向上させてくれます。対してカムを持たないノーカムセイルのオーバーは、セイルの形が崩れやすく、ドラフトが前後に移動するため使いにくく、乗り手に細かなコントロールを要求するうえ、加速もトップスピードの伸びもカムセイルに及びません。 最近のノーカムセイルは、メーカー問わず非常に性能が良いです。昔よりもはるかにドラフトは安定しているし、昔よりもはるかにオーバーも乗りやすくなっています。それでも、特に質問者手持ちの6.5以上のサイズは(サイズが大きくなるほど)、カムセイルと比較したら性能的に劣ります。(逆にサイズが小さいほど両者の性能差は小さくなります) しかしここで忘れてはいけないのが、両者には目的の違いがあるということ。カムセイルはスピード系、ノーカムセイルはイージーセイリングやアクション系のセイルなので、適材適所、自分の目的に合わせて選ばなければいけません。カムセイルはオーバーに強く、使用風域が広く、加速性能が高く、トップスピードも高いですが、カムを返す作業が厄介であったり、広いスリーブなどデザイン的、またカムやチューブバテンなどパーツ的に絶対重量が重いというデメリットがあります。対してシンプルなデザインで、余計なパーツを持たないノーカムは取り扱いが軽く、セイルアップやウォータースタート、ジャイブでのセイル取り回しなどが簡単だというメリットがあります。 質問者の場合は、以前カムセイルを使っていて、現在もスピードプレーニング主体の楽しみ方のため、ノーカムの性能に違和感を感じたのではないでしょうか。残念ながらその違和感は、カムの有無が生み出す性能差なのでどうしようもありません。 最後に、ノーカムレースセイルなどの名がつけられたノーカムながらもカムセイルに近い性能のセイルもありますが、それでさえもカムセイルと単純比較してしまえば、ただのノーカムセイルです。カムの有無は決して越えることのできない大きな隔たりなのです。 |
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