A:波が小さく、風も弱めのプチウェイブと称されるコンディションを含め、ジャンプと波乗りを主体にするウェイブという状況下では、人それぞれ、自分のレベルによって、すなわち「そのコンディションで自分が何をしたいか?」によって、選ぶべき板が異なります。
よくあるパターンとして、試乗会などでメーカー(ライダーなど)の人に問うと、彼らのレベルの視点から「波に乗ってなんぼ」の回答が帰ってくることがあります。しかし質問者の場合、そことは少し違うところに論点があることでしょう。「波に乗っての機動力」云々ではなく、簡単に言うならば「足元を波にすくわれそうなシチュエーションでも真っすぐ走りやすく」「加速が良くてプレーニングしやすい」など。波に乗ってからの機動力はその後の問題と捕らえ、まずは走りやすさにこそ論点を置くべきでしょう。
加速が良くて真っすぐに走りやすい。そこにこそ質問者が選ぶべき板の特性があると思います。加えてそれらは波のある状況下での話なのですから、「波がある中で」「加速が良くて真っすぐ走りやすい」となります。波があるとどうしても加速力は低下するし、波の影響を受けるからいつもよりも真っすぐに走るのが難しい。実際に試乗する機会があるようなので、試乗艇の中から、それをフォローしてくれると感じる板を選ぶのが良いでしょう。
ちなみに波に乗ってからの機動力は、板の回転性能が良いということになります。しかし回転性能が良いとは、言い換えるなら真っすぐ走りにくいということ。この相反する要素の中で、多くの上級者は前者を善しとしますが、質問者が選ぶべきは後者だろうということになるわけです。
とは言え、将来的に技量が上達すると仮定して、いざ波に乗って動こうとした時に「動きづらい」板はイケません。そこでひとつ指針になるのがフィンシステム。
現在フィンシステムにはフィンの枚数で、シングル、ツイン、スラスター(トリプル)、クアッドの4種類があります。その中の注目はスラスター。センターに少し大きめのフィンが1枚と小さなフィンが両サイドに配置されたスラスターは、センターフィンの大きさを変えることで直進性を操作できます。コンプリートされるセンターフィンは波乗りを考慮して少し小さめの傾向がありますが、これをワンサイズ(2センチほど)大きなフィンに付け替えると直進性を向上できます。すなわちスラスターなら、センターフィンを大きくして質問者の「今」に最適な板の性能を手に入れることができて、且つ上達後の「将来」はセンターフィンを元に戻すことで回転性に注目できる。その両側面を手にできる可能性が高いということです。
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