フリーウェイブの中古選択

QS.Uさんからの質問

現在使用中のバーレーヘッズのスーパーナチュラル95L(2007年モデル)が気に入っていて乗り続けているのですが、さすがにそろそろ乗り換え時と思い、同じ95L前後のフリーウェイブを2015年以降の中古の中から探しています。しかしそれらはどれも全長が230センチ程度で、お気に入りのバーレーよりも30センチも短い。その違いは乗り味にどう影響するのでしょうか。特に上りやすさとターン性能への影響が知りたいです。ちなみに使用セイルは10年強前のニールのウェイブセイル。その古いセイルとの相性も気になります。

A質問にあるように今の95リッタークラスの板の全長は230センチ程度。だからと横並びで同じ性能というわけではなくそれぞれに個性というものがあるので、すべての性能をまったく同じ土俵で語ることはできません。しかし、質問者のお気に入りの30センチ長めの板との比較については、ごく基本的な範囲で検証できると思います。

片方は長く、片方は短い。でも同じボリューム。となれば違いは横幅にあります。すなわち(あらためて言うまでも無いことでしょうが確認のため)、質問者の板は長くて細く、今の板は短くて幅広いということ。そこに乗り味の違いとなる基本原則が見えてきます。

長くて細い板は、ボトムもレイルも長く水面に接します。これを水接長が長い、と言います。対して短くて幅広い板は水接長が短くなります。そして水接長が長いほど、直進性が良く、上りやすいという傾向があります。しかしそれに反比例して、水接長が短いほど回転性が良いという傾向も。すなわちこうしてごく単純に両者を比較した場合は、それぞれに一長一短あり、という関係。

ならば今の短い板は直進性がイマイチで、上りにくいのか、と言えば答えはそう簡単ではありません。なぜなら短くすることでそうなるのが事前にわかっているのだから、その短所をカバーすべくデザイン上の対処がされていて当たり前だから。

その対処とは、例えばロッカーにストレートなラインを取り入れることであったり、アウトラインの操作によって(曲線で形成される中に直進性を生み出す少し直線的なラインを取り入れたり)、レイルからエッジにかけてのデザインによって水面への喰い付きを良くしたりなど、繊細且つ高度なデザインによる対処です。

事実、乗ってみればわかります。短い今の板も昔の長い板と同じように真っすぐ走り、よく上る。それでいて、短さを利点としたターン性能は昔の長い板と比較にならないほど楽でキレがいいことが。

しかしこれは「走ってる」ことが前提。プレーニングできない弱風で比較すると少し違いが表面化する場面も。弱風で上るとき(超スロースピードで上る場合)に限っては、昔の細くて長い板に軍配が上がります。なので質問者が懸念することがあるとしたら、このピンポイントの場面に関してだけ。すなわち、微風で上ることをとても重要と思うなら今使っている古い板に準ずるデザインの古い板を探すのが得策だし、「走れない弱風は気にしません」というなら新しい板を敬遠する要素はどこにも無い、ということです。

長くて細い昔の板から、短くて幅広い今の板に乗り換えたとき、たしかにその最初の出だしでは少し違和感があるかもしれません。しかしそれは1日と時間をかけることなく消え去る違和感。何か特別なことをしなければならないこともないし、特別な注意点もなく、今まで通りに乗ればすぐに慣れ親しめることでしょう。

また古いセイルとの相性もまったく問題ありません。なぜなら、板が進化する過程において、その進化は過去を踏まえた上で進化しているから。すなわち過去を決して置き去りにはしていないということで、より新しく、より良い板は、過去を内包しているということ。

そうした理由において、質問者が抱く新しい板に対する不安は「気にしなくていい」と言えると思います。新しいモノの方が上りもターンも性能的に良いに決まってるし、使うリグとの相性も問題ないという安心もあるのだから、乗り換えを尻込みする理由はどこにもありません。あとは質問者が入手可能な中古ボードそれぞれに関しての個性を検討して「最終決定するだけ」です。