A:ターゲットとなる板のサイズがわからないので回答が少し難しいです。また質問者が普段(風の弱い時に)他の板に乗り親しんでいるのかなどの情報が無いことも。なぜならこうした側面的な情報こそが、板選びにはとても重要になるからです。なので今回は情報に乏しい中で想像を膨らませて回答したいと思います。
フリーウェイブとウェイブボードの違いは、メーカーやモデル、さらにはサイズによって大きく異なるので一概に言い切ることはできませんが、大雑把に言うなら最大の違いはロッカー。
フリーウェイブは波間以外の走りも考慮して「フリーライドやスラロームなどの走り系の板に共通するストレートな(平らな)ロッカーを内包」しています。対するウェイブは波に乗ってのターンに特化するため「ロッカーに平らな部分が無くノーズからテイルまですべて曲線で構成」されています。走りのための平らなロッカーがあるか、平らなロッカーがまったく無いかという違いです。
オンショアのゲレンデで岸から波を超えて沖に出て行くような場面。走りのロッカーを内に秘めるフリーウェイブは、そのストレートなロッカー部が稼働して加速しやすく、スピードに乗りやすく、だから上りやすくて沖に出やすい、となります。そして加速しやすくて上りやすいとなれば必然(特にオンショアでは)ジャンプもしやすくなります。これと比較してウェイブボードは、加速しにくく、加速後のスピード持続性が難しく、直進性も劣る、となります。しかし曲線で構成されたロッカーはターンが得意。特に波に乗ってのターンは「ボトムターンで小回りが効く」「トップターンが派手に決めやすい」などの大きな利点を持ちます。
上の写真はオンショアの逗子の波間を沖に向かう95リッターのスラスター、フリーウェイブ。走りのロッカーと3枚フィンのグリップで上りやすく沖に出やすい。
上りやすくて走りやすいからジャンプもしやすい、という関係が成り立つ。
こうした基本を踏まえた上で、もうひとつ、フィンシステムの違いについて再確認しておきましょう。現在のフィンシステムはシングル(1枚フィン)、ツイン(2枚フィン)、スラスター(トライ/3枚フィン)、クアッド(4枚フィン)の4種類に分類されます。(ここから先はさらに個々の板の特性を無視した一般論として読み進めてください。なぜなら同じフィンシステムでも各々の板によって性能が大きく異なるから)。この4つの分類の中で最も直進性に乏しく、オンショアで上って沖に出て行くのが不得意なのが(質問者の乗る)ツイン。スラスター(トライ)とクアッドはそれよりも直進性が良くて上りやすく、シングルはさらに上りやすい、という順番。そして質問者は新調する板に、現在使用中のツインよりもオンショアで上りやすくてジャンプしやすい板を望んでいるのだから、ツイン以外であればスラスター(トライ)でもクアッドでも、シングルでも、どれでも今よりも望みを叶えてくれるだろうことが期待できる、となります。(注/現在のフリーウェイブはその多くがスラスターでシングルは少数派)
次にターンに関して。ここでは質問者が普段、フリーライドやスラロームに慣れ親しんでいるかどうかが影響すると思います。弱風時にそれらに乗り馴れているとするならば、フリーウェイブのターンが曲がりにくいと感じることは少ないでしょう。なぜなら走りのロッカーを持つそれらの板でターンする際のレイルの入れ加減やターンの際の重心位置の置き方などが身に付いているだろうから。でも乗り馴れていないとしたら、走りのロッカーを持つフリーウェイブのターンは少し曲がりにくいと感じるかもしれません。それは乗り馴れてしまえば何等問題無い程度の違いではありますが、乗り換えた当初は「ボトムターンやトップターンが鈍重」と感じる可能性があると思います。ツインならちょっとレイルを入れただけで、もしくはレイルの入りが不完全でも曲線のロッカーとフィンシステムのコンビネーションでターンが「ダマせる」ところが、もっと大胆にレイルを入れないと(ダマしが効かずに)同じターンが描けないという戸惑い。普段、走り系の板に乗り馴れているかどうかでその戸惑い加減に違いがあるかもしれない、ということです。
同じく逗子のオンショア。95リッターのフリーウェイブでも、この程度の波サイズならこのくらいのボトムターンは十分に楽しめる。多少ターンが大回りになったりトップターンのキレが鈍いとしても、それを感じるのは大技を当たり前に決めることの出来る相当レベルのエキスパートに限られ、普通の人が普通に波乗りを楽しむならその性能は大満足の領域と言える。
これらを総合して質問にズバリ回答を。質問者の場合、トータル的に考えて「フリーウェイブの方が良さそう」だと思います。
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