A:まず基本的なこととして、なぜウェイブエンドと、それよりも幅広いスラロームエンドがあるのか、ということ。これは使用するセイルの、ドラフトの位置と深さの関係にあります。
単純に、走り系のセイルのドラフトカーブは少し「深く」「後ろ」にあり、対してフリースタイルやウェイブのアクション系のセイルのドラフトカーブは「浅く」「前寄り」(これは極論で必ずしもすべてのセイルがそうだと言えませんが、理解を深める上でのひとつの目安として)。
この違いが使うブームのカーブに大きく影響します。スラロームエンドは幅広く、対してウェイブエンドは幅狭いです。そしてエンドの幅が広いとブームは左右パイプの幅が「広く」なり、エンドが狭いと「狭く」なります。わかるでしょうか。エンドが広ければブームがワイドになるということ。そして幅広いブームは「深いドラフトを持つ」走り系に、幅狭いブームは「浅いドラフトの」アクション系に合うだろう、という推理が成り立ちます。
ここでもうひとつの目安。走り系のセイルの多くには「クロスバテン」というものがあります。これはブームと交差するようにバテンがレイアウトされているセイルのこと。走り系であっても違うものもありますが、質問者の手持ちセイルはこのクロスバテンだと思います。
クロスバテンの場合、その原則として(その風において)バテンとブームの交差点が接するか接しないかのギリギリのところが良いという、特にアウトテンションにおける公式があります。そしてその公式を満たすためには、ある程度エンドが広くあることが必要。エンドの狭いウェイブブームだとアウトテンションを相当強く引かないと(それはそのセイルの想定以上の強いテンションで)クロスバテンとブームが強く接してしまい、ブームに行く手を遮られたバテンは本来あるべきカーブを描けずに歪み、セイルフォルムもまた本来あるべきドラフトカーブを形成できず、結果としてそのセイルが本来持つべき性能を発揮できない、となってしまいます。それを解消するために必要以上にアウトテンションを強めれば、それはアウト引き過ぎであるため性能が低下する、という悪循環。この悪循環の元凶が、ブームの幅広さ=エンドの幅広さ、に起因するいうこと。
もちろんこれは使用者個々によるチューニングの違いや、スラロームエンドと言ってもどの程度のエンド幅を持つブームであるか(メーカーごとモデルごとの違い有り)など、さまざまな要素によって一概には言い切れないことですが、クロスするバテンがブームにベッタリと張り付き、ドラフトが膨らみ切れないでブームを境に上下にヘンに膨らむというようなことがあっては論外だということだけは明白。
そうした基本を踏まえた上で質問に戻りましょう。質問者はアウトカニンガムを使うかどうかでスラロームエンドかウェイブエンドかを悩んでいるように思えますが、そうではなく、使うセイルのドラフトカーブがスラロームエンドを必要としているか、ウェイブエンドでも大丈夫なのか、で事を判断すべきです。そしてその結論は、ノーカムではあるけど走り系の性能が高く、さらにクロスバテンシステムを有する当該セイルにおいては、またセイルサイズ的なこと(極詳サイズではないからドラフトもそこそこ深め)も考え合わせるならば、その性能を引き出しやすいだろう可能性においてスラロームエンドの方がベストだろうということ。その判断において、カニンガムを使うか否かはまったく関係ありません。
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