ボードのセイルの選択バランス

QK.Hさんからの質問

JPのALL RIDE116を手に入れたのち、手持ち最大セイルとの組み合わせで夏の本栖湖や湘南での弱風を楽しめてはいるのですが、プレーニングへの入りが少し遅いと感じています。そこで加速率を高めるために7.0近辺のセイルを検討中。GAのコスミック7.7が良さそうにも思えたのですが手持ちマストがRDMの430ということもあり、同じくGAのマトリックス7.2か、ハイブリッド6.7にするか、ALL RIDEとの相性も含めてどちらが良いか悩んでいます。またアンダーに重点を置いてさらに125リッターあたりの板を手にした場合も含めて、選択に悩んでいます。

AALL RIDEは少し前のモデルで今はJPのラインナップにありません。今ラインナップされているのは、走り系のスラローム色の強い方から順に並べるなら、フリーレースボードであるスーパースポーツ、次がスーパーライド、そして最もフリーライドっぽいマジックライドとなります。その中にオールライドを位置付けするならスーパーライドとマジックライドの中間あたり。すなわち、スーパーライドほど走り系じゃないけど、マジックライドよりも良く走る、となるでしょう。

オールライドは少し古いフォルムも特徴。例えば今のモデルであるスーパーライドの116リッターは全長234センチ、最大幅68センチ。対して(年度がわからないので例えば2015年モデルなら)オールライドの116リッターは全長245センチで最大幅65.5センチと、少し長くて細いフォルム。そのフォルムから考察してもこの板が、静止バランス云々よりも「プレーニングして面白い」だろうことがわかります。

このような性格の板に合うセイルは、走るのが得意なセイル。それはカムセイルならセカンドレースセイルなどの3カム以下、ノーカムならば、ノーカムレースセイルと呼ばれるようなセイル。

ノーカムに限って話を進めるなら、バテンの数で判断するのがわかりやすいでしょう。同じセイルサイズだった場合、単純にバテンの数が多いほど走り系という判断。バテンが多ければそれだけバテンに挟まれるパネルは小さくなり、パネルが小さいとダウンを引いた際に個々のパネルに、よりテンションがかかりやすくなります。そうしてパネルテンションが強いほど、走りを得意とする傾向が強いという公式。

その基本公式を考慮した上で質問者の悩むマトリックスとハイブリッドを比較してみると、例えば7.2m2で、マトリックスのバテン7本に対してハイブリッドはバテン6本。となればオールライドに合うだろうセイルはマトリックスだろうとの答えが導き出せます。

バテンが少なくてソフトなセイルの方が加速しやすそうだと思い違いする人は少なくありませんが、大切なのはあくまで「板とセイルの相性」。もしバテンが少ないソフトなセイルの方が加速しやすいという大前提があったとしたなら、スラロームボードでバテンが多くて硬いレースセイルを使うのは大間違いということになってしまいます。しかし実際にはそんなことは無いわけなので、そうした現実からも、板とセイルの相性の大切さに気付けます。質問者が現状の組み合わせで加速力に乏しいと思えるのも、もしかしたら板とセイルの相性のアンバランスさにあるのかもしれません。

マトリックスの7.2もハイブリッドの7.2も430のマストで適応するため選択に悩むところですが、ここまで考察してきたオールライド116という板の特性を考えるなら、お悩みの答えはマトリックスの7.2となるでしょう。同じサイズで比較してもそう思えるのだから、ましてや手持ちの6.4に近いサイズである6.7の選択は無いと思います。

さらに、もし今後125リッターあたりの板を手にした場合、たぶんそれはより走り系の性能を持つ可能性が高いだろうことを思えば、上記した理由によって、よりバテン数の多いマトリックスの方がその板との相性も良く、楽しみの幅が拡大するだろう未来図も描けそうに思います。